2012年10月6日土曜日


アパルーサの決闘 "Appaloosa"
こんな面白い映画が日本未公開だったなんて信じられない。
まあ監督・主演がエド・ハリス・・・と言っても映画好きじゃないと
「アポロ13」や「アビス」に出ていた禿げたオッサンぐらいの
印象しか無いだろうし、もう一人の主役のヴィゴ・モーテセンも
「ロード・オブ・ザ・リング」では沢山役者が出ているから覚えられない。
そんな地味なキャスティングだから日本の配給会社が
二の足を踏んだんだろう。
かく言う私も実は知らなかったが、BSでやってくれたので
観る事が出来たという次第。
話は西部のアパルーサという町にやって来た流れ者の二人組が
町に蔓延る悪徳牧場主をやっつけるというお定まりの
パターンだが、登場人物が皆ヒネってあって
主役のエド・ハリスは保安官として雇われ
町にやって来た尻軽女に夢中になって悪人を逮捕したものの
人質に成った、その女との交換で逃げられてしまう情けなさ。
その尻軽女を演じるのがレネー・ゼルウィガー
まったく”女”を武器に弱さとズルさをリアルに演じきる。
そして結局、脇役と思った保安官補佐のヴィゴ・モーテセンが
実は隠れ主役で物語の良いところを全部サラってしまうのだが
此の蛇の様な目付きで悪役にしか見えない俳優は
リドリー・スコットの「G.Iジェーン」でも観客の裏をかき
最期に良いところを持って行ってしまった実力派だ。
そして実力派といえば悪徳牧場主役のジェレミー・アイアンズ。
彼は英国の舞台俳優だが「運命の逆転」でアカデミー主演賞
他にもルイ・マルの「ダメージ」ベルトルッチの「魅せられて」と
話題作・問題作の主役で引っ張りだこ。
その彼がインテリだが悪の塊みたいな敵役を悠々と演じている。
そんなワケで皆アカデミー受賞やノミネート常連の役者だから
それぞれの役の掘り下げが見事で、その演技を観てるだけでも楽しめる。
しかし西部劇らしいダイナミックでスケール感の有るカメラ・ワークは
ジョン・フォード、ジョン・スタージェス等の名場面を
彷彿とさせる懐かしさが有り、新しい機材に依るヌケ(映像)の良さ。
俳優、監督と二足の草鞋で頑張っているエド・ハリスに
時間(光と影)と金(予算)をたっぷり、
かけさせたプロデューサーが偉い。
それにつけても再び悪に乗ったられた町を奪い消すべく
相棒の為に命をかけ戦い、そして自分は
身を引き、町を去って行くヴィゴ・モーテセンの格好良さは
名作「シェーン」に繋がるダンディズム。
売り方によっては当たる映画と思うが配給会社が無能なんだね。







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