
ホワット・ライズ・ビニーズ(2000)ロバート・ゼメキス監督作品
What Lies Beneathは裏に何かあると言う意味らしい。
全くその通りの内容のホラー映画である。
もうネタバラシをしてしまうのは、後味が悪く
私が2度と観たくないからである。
ハリソン・フォードとミシェル・ファイファーの夫婦に
幽霊が取り憑く・・・という話で、此のコンビなら
ハッピーエンドで映画館を出るはずが
実はハリソンは数学者ながら教え子と不倫のあげく殺し
その教え子の幽霊がミシェルにとり憑くという全くのホラー。
ラストには二人殺し合う壮絶なオチとなっている。
監督ゼメキスはヒッチコック映画技法をコピーし
これでもか!と脅かすものだから気持ち悪くて
いい加減に止めてくれーいと。
そして続けて観たのが
「ツーリスト」(2010) : フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督作品
アンジョリーナ・ジョリーとジョニー・デップのコンビ
此のキャスティングだけで、こりゃくだら無い”ラブコメディ”だなと
決め付けたが、これが意外や意外に面白い!
此方はドンデン返しがあるから(ネタバレ注意)
観てなかったら此処から先は観てからどうぞ。
話はアンジョリーナの役はロシア・マフィアの金庫係の情婦。
ロンドン警視庁の金融犯罪課チームが、その女を追跡すると
ベネチア行きの列車に乗る。
そして、その女は列車の中で引っ掛けた男がジョニー・デップ
彼女はボスから”自分と似た背格好の男”と指令を受けていたのだ。
その金庫係は整形して居て、誰も本当の顔は判らない。
それを追ってロンドン警視庁と資金を奪われたロシア・マフィアの
三つ巴の追っ駆けっこがベニスの運河狭しと展開する。
その間にジョニーはアンジョリーナに恋をしてしまう。
ベニスの金庫係のアジトに追い詰められた二人は銃撃戦の結果
なんとか助かり唯の”ツーリスト”と称していたのは
実はロシア・マフィアの金庫係そのものだったというオチ。
アンジョリーナが「なんで、そんな不細工な顔にしたの?」
というラストのセリフが、ジョニー・デップの顔に合っていて
キャスティングの妙というか何とも可笑しい。
こんなビリー・ワイルダー映画みたいなオチは好きだ。
此の長くて覚えられない名前の監督はビリー・ワイルダーと同じ
ドイツ人のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。
ドイツ時代「善き人のためのソナタ」でアカデミー外国映画賞を得ている。
少年時代からルフトハンザ航空に勤めた父親の元
ニューヨーク、ベルリン、ケルン、ブリュッセルで過ごし
成績優秀、ロシア語、英語と教師も出来るほど堪能
英国オックスフォードで哲学、政治、経済学を学び
映画はリチャードアッテンボローに師事した逸材。
しかも205cmの長身、長い名前ヘンケル・フォン・ドナースマルクは
ハンガリー貴族の名称も含まれている。
現在52歳遅いスタートだが此れからが楽しみな監督である。