「激動の昭和史 沖縄決戦」 (1971):岡本喜八監督作品
岡本喜八といえば独立愚連隊シリーズで
戦争を茶化したアクション映画を作ってきた人
脚本の新藤兼人の生真面目さと合うのだろうか?と観ていたが
いや沢山言いたい事がある様で145分という長編に
言いたい事を全部ぶちまけている。
それでも”ウチナンチュ”の恨みは伝えきれてない様に思えるが。
兎に角、聞きしに勝るとは此の事で知らなかったでは済まされない
沖縄戦の実態を伝えようとしている。
本来なら米軍が撮ったドキュメンタリーを使う部分を
東宝がゴジラの特撮・中野昭慶に実写で撮らせている。
それより俳優たちが東宝オールスターとも言うべき
小林桂樹、丹波哲郎、仲代達矢に中谷一郎、池部良
若大将コンビの加山雄三に田中邦衛まで出演させ
冒頭の軍人頭・丸坊主から戦闘が激しくなり毛が伸びるまで
顔は泥と血にまみれるリアリズム。
まあ男子の兵隊はともかく女優たちは大空真弓はともかく
酒井和歌子や大谷直子は何処に出てたんだろう?と言うくらい
泥まみれで誰が誰だか分からない。
まあ戦争とはそう言うもの、個人のアイデンテティなんんて
無視されるものだから・・・。
東宝映画の名脇役、藤原鎌足、三井弘次、堺左千夫、天本英世などが
沖縄県民に成りきって”ヤマトンチュ”との立場の違いみせれば
岸田森に戦争に批判的なニヒルな麻薬中毒軍医を演じさせたのも
監督・岡本喜八の目線だ。
それにしても大本営というか当時の日本が沖縄を犠牲にして居たのは
あの太平洋戦争で沖縄県民の三分の一が、亡くなっているという事実を
我々は重く受け止めなければいけない。