「新・座頭市」15話 ”女の鈴が哭いた”
今、又勝新太郎の座頭市をBSで劇場版とTVドラマとオンエアしている。
何方もだいたいは録画してDVDで焼いて持っているが
時々見逃したものがあるのでチェックしている。
此れはオープニングに"鬼平外伝”の監督井上昭とあったので観た。
果たして、それは正に気合の入ったもので、
まず脚本(山田隆夫)の出来も良く
全編カメラワークも素晴らしいものであった。
まず脚本だが、仲の良い包丁投げの旅芸人の夫婦(佐藤オリエと高橋長英)と、
座頭市に片腕を斬られ恨みを持つ悪い岡っ引き(蟹江敬三)が登場。
亭主の眼が見えないのを良い事に、シェークスピアの"オセロ”のイアーゴ並みに
嫉妬という”毒”を吹き込み、亭主の投げ包丁で座頭市を殺させようとするのだ。
それまで上手くいっていた夫婦も、その”毒”がまわり、
呆気なく二人の愛の関係が崩れてしまう。
この辺りの描写が俳優の上手さと、クローズアップ多用の
素晴らしいカメラワークが
市川崑作品や勅使河原宏作品で学んだ勝新の目指す
”新しい映像”に監督 井上昭が見事に答えている。
画面の隅々まで張り詰めた緊張感は、今のTVドラマにも劇場用映画にも無いものだ。
音楽は村井邦彦となっていたが聴く限りでは佐藤オリエが弾く鼓弓など
その情念の表現が前シリーズの冨田勲の様に思えた。
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