「日本侠客伝・斬り込み」(1967):マキノ雅弘監督作品
マキノ雅弘監督が高倉健を育てる様にして作った此のシリーズも7作目。
少し目先を変えようと脚本・笠原和夫は健さんを渡世人ではなくてテキ屋にさせた。
だから彼の出立も着流しではなくて背広にズボンの寅さんスタイル。
未だ、渥美清の寅さんシリーズはTVドラマも始まっていないし
山田洋次はヤクザ映画のパロディとして作ったたという説もある。
此の作品で健さんは、なんと子持ち男寡の渡世人という設定。
その息子の急病に、土地のテキ屋の親分(石山建二郎)に借金をするが
健さんに惚れた、その親分のたっての願いで浅草でテキ屋をやる事に。
浅草で金子信雄が、寅さんみたいに商売(バイ)を仕込むが
健さんが全然できないというか、流石に向いてないのが笑える。
追いかけて来た親分の娘(藤純子)と良い仲になったは良いものの
そこで土地のヤクザとお決まりのショバ代をめぐる諍いに巻き込まれる。
そのヤクザが懐かしい悪役・天津敏。彼はTV”隠密剣士”以来のワルの老舗。
片目を眼帯に、北野たけしみたいに首を捻って癖をつけ
憎まれ役を楽しそうに演じている。
しかし、その上に渡辺文雄という、もっと悪い奴がいて
テキ屋の健さんを痛ぶるだけ痛ぶる。
それに我慢に我慢を重ねた挙句に、小倉の親分から贈られた
刀”隻の孫六”の封を切り、敵地(渡辺文雄と天津敏)へ斬り込む訳だが
その前に女房となった藤純子との別れが泣かせる。
藤純子はシリーズ始めの可愛いだけの娘役から
監督マキノ雅弘に仕込まれて、夫の為に芸者になって大金を作る
健気な女房に成長した彼女の演技には目を見張るものが・・・。
此処では既に”緋牡丹博徒”の原型が出来ている。
そんな訳で此の作品は11作も続いたシリーズの中でも
様々なターニング・ポイントと私は思うが如何かな?
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