2023年3月8日水曜日

「ザ・ヤクザ」:シドニー・ポラック監督
此の作品は凄いメンバーで作られている。
先ずは脚本のポール・シュレイダーだが弟のレナードが
京都の同志社と京都大学で英文学の講師をして
小津安二郎や三島由紀夫などの日本文化に詳しく
原案を書き、それを兄のポールがロバート・タウンと共に脚本にした。
此のロバート・タウンは既に「ゴッドファーザー」の台詞
ジャック・ニコルソンの「チャイナタウン」の脚本を描いている。
その脚本に興味を示したのが監督シドニー・ポラック。
”ヤクザ”は組織的にアメリカの”マフィア”と似ているが
その精神世界は欧米人には理解出来ない”任侠の世界”
そのアイコンでもある高倉健に、いかにもアメリカ人のタフガイ
ロバート・ミッチャムを組ませて、当に”ザ・ヤクザ”を描いた。
原案の弟レナートのヤクザ分析は的確で
”義理”と”人情”を欧米人に理解できる様に丁寧に説明してくれる。
しかし登場人物のそれぞれの家族関係が入り組み過ぎていて
私は日本人だが、ヒロインの岸恵子を取り巻く”しがらみ”が
理解出来ないまま、健さんとロバート・ミッチャムが
”昭和残侠伝”のラストの様に派手な立ち回りへと向かう。
ロバートは散弾銃、健さんは、お約束の背中の刺青に切り傷。
その場には「24時間の情事」の国際スター岡田英次
”ちあきなおみ”の夫の郷英治に待田京介と
東映ヤクザ映画のそれらしい敵役が総出演。
撮影は岡崎宏三だから、画づくりとしてはハリウッド物に良くある
”変な日本”には成っていなく、安心して最後まで観られるが
果たして本当にロバート・ミッチャムは納得して
小指を詰めたのか?(あっネタバレ!)
製作総指揮を取ったのは”緋牡丹のお竜”のお父さんの俊藤浩滋。
賭場の場面のリアルさが、それを証明(ありゃ本物達だな)
ネッ凄いでしょ!スタッフ&キャストの此の顔ぶれ
もう一つオマケに音楽がジャズのデイヴ・グルーシンに
キャバレー場面の歌手の歌う作詞が阿久悠とタイトルに!
それが何だかよく聴こえないんだが・・・。

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