黒澤明の映画音楽#7
どん底(1957):佐藤 勝
「蜘蛛巣城」の”能”に続き、早坂文雄の影響で日本の古典芸能に
興味を持ったクロサワは次回作を貴族や武士階級ではなく
庶民の芸能”お囃子やお神楽に目を付け、佐藤勝が又その期待に応えた。
それもロシア文学ゴーリキーの戯曲”どん底”の映画化である。
帝政ロシアの貧民窟を江戸の棟割長屋に置き換えて。
”蜘蛛巣城”に続きカメラはマルチカム方式。
前回は一発勝負の現場のテイクを減らすのが目的だったが
此の作品では、今なら名優と呼ばれる演技派俳優を集め
その素晴らしい演技の絡み合いを無駄なく収める為。
その甲斐あってかスタジオ撮影は3ヶ月とクロサワ映画にしては
破格の低予算で”蜘蛛巣城”と同じ年に完成している。
それにしても今ならラップに聴こえる名優たちの
生き生きとした表情に、動きの素晴らしさ。
エピソードとして撮影の始まる前スタジオに
当時の志ん生や今輔を読んで長屋落語を聴かせたというのが
流石のクロサワ演出!
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