フランスのヌーベル・ヴァーグの監督達に高く評価された監督
ハワード・ホークスの遺作である。
彼が評価されているのはハンフリー・ボガード主演の
「脱出」「三つ数えろ」等のハード・ボイルド物だが
此の作品を含む西部劇に彼の魅力は結集している。
主演のジョン・ウェインとは
「赤い河」「リオ・ブラボー」「エル・ドラド」と名コンビ。
しかし流石のジョンも此の頃は腹が出て、
馬の鞍に乗るのも可成り大変そうだが、
それも味にしてしまうのがハワードと彼の関係。
西部劇の題名には"リオ”何とかが多いので
此れもテッキリ観た作品かと思いきや此れは初見!
オープニング・タイトルに”ジェニファー・オニール”の名を見つけ
あの「おもいでの夏」のハーミー少年みたいに興奮したが、
此れは、彼女にとって「おもいでの夏」以前に出演した作品。
とにかく此れを観た監督ロバート・マリガンがSUMMER OF 42のヒロインは
彼女しか居ない!と決めたのだろう。
それくらい此処でも彼女は素晴らしく女盛り。
話は米国・南北戦争末期、北軍の軍用金を南軍の兵士が
列車強盗で奪う所から始まる。
そのダイナミックな描写だけで此の監督の実力は判る。
(そう言えば助監督に"駅馬車"'ベンハー"の名スタントマン
ヤキマ・カヌートの名も)
ジョン・ウェインの役は北軍の大佐で、
その軍用金を南軍に列車ごと強奪され、
彼は奪還すべく奔走するが南軍の捕虜になり、
そのまま南北戦争は終戦となってしまう。
これからが映画の本筋で、戦が終われば
アメリカ人同士で互いに恨みはないが
その軍用金運搬情報を売ったスパイが味方の中にいて、
ジョン・ウェインはその兵士に落とし前を付けにゃ気が済まぬと、
かつての敵だが仲良くなった南軍少佐とその憎いやつの居る
メキシコ国境のリオ・ロボへと向かう。
そこで出会った女がジェニファー・オニールという訳。
彼女は親代わりの爺さんと2人で馬車の薬売りをしていたが
悪い保安官に爺さんは殺され、その馬車も盗られたと。
追ってきた、その保安官助手5人、バッチは付けていたが、
どうやらジョン・ウェインが追っていたスパイの片割れらしい。
気の強いジェニファー・オニールが敵を討つのを手助け、
その成り行きで、悪人達に乗っ取られている町リオ・ロボへ。
もう此処からは「リオ・ブラボー」並みの息吐く暇も無い決闘シーンの連続。
しっかり黒澤明の「用心棒」のクライマックスまでパクって
リオ・ロボが砂埃り舞う上州は宿場町の様。
途中でその決闘に加わる北軍兵士の父親に西部劇では、
お馴染みの片目の名優ジャック・イーラムが絡み、洒落た笑いを誘う。
そうジョン・ウェインも既に格好良いヒーローから
程遠い爺さんガンマンに成ってしまっているから
此の二人で大丈夫か?とハラハラさせるのも此の監督の技だ。
此の監督はモンローの「金髪はお好き」等コメディも得意な
ジャンルを問わない器用な演出家なのだ。
ユーモアとスリルの使い分けが西部劇職人たる所以か?
でも音楽は当時無名のジェリー・ゴールドスミスを起用
テンポもサウンドの切れ味もモダンでニュー・シネマ仕立て。
ジェニファーはブラジル生まれのモデル上がりの美人女優だが
他にもメキシコ国境付近だからラテン系のグラマー美人が2人も登場。
それぞれ味方のガンマン達とロマンスの花は咲くが、
ジョン・ウェインは、お爺ちゃんだから女達から
"貴方は安心ね”のオチが笑わせる。
こんな名作を残して亡くなった監督ハワード・ホークス大好き!
もう全作品集めちゃおう(^^)
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