2019年3月20日水曜日

「ウィル・ペニー」(1968)
先日、BSでやっていたチャールトン・ヘストンの西部劇。
彼は所謂聖書もので神様の様な人だと思い込んでいたが
映画「ボーリング・フォー・コロンバイン」で
全米ライフル協会長の超保守的な俳優と判り失望した。
それでも自由民権運動当時はリベラル派で頑張っていたらしい。
此の映画は「明日に向かって撃て」が公開される1年前
マンネリ化した西部劇を何とかしようと
サム・ペキンパーのTVシリーズの評判の良かった
1エピソードを長編にしたらしい。
とても良くできたシナリオで新しい西部劇の予感を感じさせる。
公開当時のキャッチフレーズはシェーンの感動を再び!
確かにラスト・シーンは似ているがコチラの方が
かなりヒネってあって面白い。
物語はヘストン扮する初老のカウボーイが流れ着いた牧場の
山小屋の番をさせられる。
彼は過去に正当防衛ながら男を殺してしまい
その一味から襲撃され重傷を負う。
それを助けたのは山小屋に勝手に住んでいた母と少年。

此の親子に、それまで一人で自由気ままに生きていた
ヘストンは初めて家族の温かさを知り
人間らしい生き方に目覚める。
しかし執拗に彼を追う、ならず者一味に彼は再び捕まり
・・・と少しもダレることのないテンポと編集。
悪役が強いほど映画は面白いの定説通り
007
で悪の親玉プロフェルドを演じた
ドナルド・プレザンスが自ら牧師と名乗り
手前勝手な宗教論を振りかざし殺傷する様は
何ともサイコで呆れるほど憎たらしい。

これに対して主役のヘストンが
従来の英雄イメージを裏切る
年寄りで弱く、やたらヤラっぱなしの構成が巧い。
まあ、ラスト・シーンには、それなりのカタルシスは
用意されているがハッピーエンドでは無い。
だから公開当時、ヘストンの映画らしくないから
当たらなかったらしいが
西部劇の名作として私は上位にランクさせたい。

俺は君の愛に応えるにも、カウボーイとしても
もう歳を取りすぎているんだのセリフには泣かされる。


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