2017年7月24日月曜日

情熱のピアニズム(2012)
久しぶりに凄いドキュメンタリーを観てしまった。
彼ほどの障害を抱えたミュージシャンは他にはいない。
生まれた時から骨に異常があり成長せず
しかも柔らかいので絶えず骨折をしてしまう。
成人してからも体長は伸びず、僅か1mそこそこ。
その彼が見世物小屋でもサーカスでもなく
コンサートでピアニストとして観衆を感動させる。
その軌跡いや奇跡を追ったドキュメンタリーである。
監督は映画「イルポスティーノ」のマイケル・ラザフォード。
しかし彼はもともと記録映画出身
だから只の記録映画に終わっていない。
音楽好きな父親に、小さい頃から徹底した英才教育でピアノを習い
17歳で米国へ単独修行。時はモダンジャズの黄金期
西海岸からニューヨークのジャズ・ジャイアントに
此の小人は愛され、彼らとセッションを重ね
徐々に頭角を現して行く。
興味深いのは彼の耳の良さ。
小さい頃から楽譜も読めず、耳だけで暗譜
フランス人なのに英語も数ヶ月で覚えてしまう天才。
しかし彼を、それだけの高みへ導いたのは彼の性格だ。
自分の体型のコンプレッスなど微塵も出さず
むしろ、それ逆手にとり、笑わせて友好関係を築いて行くのだ。
それは特に女性関係に有効であったようだ。
生涯数え切れないほどの女性遍歴
それも、その女性たちへのインタビューで
赤裸々になって行く。
自分は障害者ゆえ長くは生きられないと
彼は分かっていたのだろうか?
人並み外れた好奇心を満たすべく
あの時代ならミュージシャンは皆ドラッグ漬け
彼も例外ではなく、残り少ない人生を生き急いだ。
まるで彼の得意としたピアノの早弾きのように・・・。




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