情熱のピアニズム(2012)
久しぶりに凄いドキュメンタリーを観てしまった。
彼ほどの障害を抱えたミュージシャンは他にはいない。
生まれた時から骨に異常があり成長せず
しかも柔らかいので絶えず骨折をしてしまう。
成人してからも体長は伸びず、僅か1mそこそこ。
その彼が見世物小屋でもサーカスでもなく
コンサートでピアニストとして観衆を感動させる。
その軌跡いや奇跡を追ったドキュメンタリーである。
監督は映画「イルポスティーノ」のマイケル・ラザフォード。
しかし彼はもともと記録映画出身
だから只の記録映画に終わっていない。
音楽好きな父親に、小さい頃から徹底した英才教育でピアノを習い
17歳で米国へ単独修行。時はモダンジャズの黄金期
西海岸からニューヨークのジャズ・ジャイアントに
此の小人は愛され、彼らとセッションを重ね
徐々に頭角を現して行く。
興味深いのは彼の耳の良さ。
小さい頃から楽譜も読めず、耳だけで暗譜
フランス人なのに英語も数ヶ月で覚えてしまう天才。
しかし彼を、それだけの高みへ導いたのは彼の性格だ。
自分の体型のコンプレッスなど微塵も出さず
むしろ、それ逆手にとり、笑わせて友好関係を築いて行くのだ。
それは特に女性関係に有効であったようだ。
生涯数え切れないほどの女性遍歴
それも、その女性たちへのインタビューで
赤裸々になって行く。
自分は障害者ゆえ長くは生きられないと
彼は分かっていたのだろうか?
人並み外れた好奇心を満たすべく
あの時代ならミュージシャンは皆ドラッグ漬け
彼も例外ではなく、残り少ない人生を生き急いだ。
まるで彼の得意としたピアノの早弾きのように・・・。
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