2017年6月27日火曜日

デンジャラスデイズ
メイキング・オブ・ブレードランナー(2007)
SF映画の名作として今でも人気の高い此の映画だが
当時の関係者のインタビューと未公開映像で構成した
長編ドキュメンタリーである。
私もマニアとして、ディレクターズ・カット版から
様々な編集違いをVHSからHi-8、DVDにブルーレイと集め
関係書籍から原作フィリップ・K・ディックのほか
違う著者の続編に、その又続編と持っている。
それでも此のドキュメンタリーに
目から鱗、いや”レプリカントのゾーラ”の蛇の鱗が落ちた。
「エイリアン」のヒットで米国でも人気の出た
監督リドリー・スコットがハリウッドで此れを撮るのは
実は大変だった様だ。
母国・英国のCMで成功したリドリーは
15,30秒の世界を、ディテールで勝負していた監督だから
此の未来社会を映像化するに、美術を凝りに凝り
(もともと彼は美術監督からスタートしている)
決められた予算とスケジュールを遥かにオーバーし
それと彼の映像は夜間撮影や雨やスモークの労働条件がキツいので
米国スタッフとの衝突が半端では無かった様だ。
私が以前に観たDVDに付いていた短いメイキングでは
主演のハリソン・フォードが、此の作品を悪夢として
語りたがらなかった。
だいたい、敵役のルドガー・ハウワーに
イイところを取られっぱなしだったし
それが此のドキュメンタリーでは、嘘の様に
監督や共演者を持ち上げる大スターを演じている。
時間とは人の気持ちも変えてしまうのか?
いや、此の作品、公開当時は興行成績も伸びず
評価も低かったのだが、40年後の今
DVD化されたものを皆、DVDで楽しみ
その凝った作品のディテールを巻き戻しては
チェックする人が増えてきて
ネットでも沢山の名場面が簡単に観られる。
だから劇場のリバイバル上映にマニアの観客が結構集まるらしい。
そうなると、流石にハリソンも文句は言えなくなったという訳。
まだ現在の様な凄いC.G.技術が発達以前、
”アナログ最後のSF映画”とも呼ばれる此の作品の魅力は
工業デザイナー、シド・ミードを巻き込んだ
監督リドリー・スコットの未来イメージの素晴らしさだろう。
カットされた場面、主人公デッカーの夢見る一角獣など
監督リドリー自らが語る様に当時には”早すぎた映画”なのだ。
いや、もう直ぐ映画の世界と同じ年代になるのに
いつまでも先の未来を描く、孫悟空の”お釈迦様の手”の様な
ところが、此の作品のカルトたる所以なのだろう。



0 件のコメント:

コメントを投稿