2017年6月6日火曜日

ブラッド&ワイン(1996)
アメリカン・ニュー・シネマの先駆けとなった
「ファイブ・イージー・ピーセス」や
「郵便配達は二度ベルを鳴らす」等
俳優ジャック・ニコルソンとのコンビで知られる
ボブ・ラフェルソン監督の作品。
監督ボブ・ラフェルソン
何れも人間の悍ましい欲望と、その結末を
描くのを得意としている監督だ。
此れも真面(まとも)な人間は一人も出てこない
ピカレス(悪党)映画。
ジャック・ニコルソン演じる主人公は
フロリダのマイアミで金持ち相手のワインの仲買人
高級車DMWを乗り回し、洒落たスーツを着こなし
妻がいるのに若い女(ジェニファー・ロペス)を囲い、
表向きには人も羨む生活。
こんな役はジャック・ニコルソンが良く似合う。
二人で踊る”タンゴもどき”が華やかだ。
しかし一方で女房には暴力を振るい、実は博打で大借金。
それを返すため仲間と組み、ワインの卸先の豪邸から
超高価なダイヤのネックレスを盗み出す。
それを裁こうとN.Y.へ若い女と行こうとしたのを
女房に見つかり、殴ろうして
逆に殴り倒され、気を失ってしまう。
女房には前夫の間の息子(スティーブン・ドーフ)がおり、
丁度戻ってきた息子と共に家を出るが、運んだカバンの中に
そのダイヤが入っていたから話は、ややこしくなる。
気がついた主人公は、妻が持ち去った宝石を
泥棒仲間と必死で追いかける。
此の仲間を英国の名優マイケル・ケインが演じ
人間臭い演技でドラマに膨らみが出て来る。
名優二人の競演も見どころ。
登場人物は欲に駆られ次々と争い、殺し殺されて行く。
話は陰惨だが、背景のキーウエストの光と陰が美しく
題名の”ブラッド&ワイン”の意味する”赤”が”人間の業”を彩る。
ラストに、その報いを受ける・・・というオチ。
寡作の監督だが、ボブ・ラフェルソン作品の完成度はどれも高い。
悪女が主人公の「ブラック・ウイドー」等も良かったが
中でも此れはBEST-3に入るだろう。

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