2017年4月27日木曜日

バルカン音楽事情その7
America, America : Manos Hadjidakis  
1962年の映画「アメリカ・アメリカ」は
エリア・カザン監督のルーツを元にしている。
彼はギリシャ系アメリカ人。
祖先はトルコの圧政を逃れアメリカへ移民した。
その凄まじい苦難の歴史は今の難民問題と変わりはない。
その映画につけられた音楽は
ギリシャの作曲家マノス・ハジダキスのスコア。
トルコとギリシャの伝統音楽の微妙な関係を
見事に表現しているので此のシリーズに入れた。
彼は皮肉にもレッド・パージでハリウッドを
追われたギリシャ人監督ジュールス・ダッシンの
映画「トプカピ」(1964) にもスコアを提供している。
此れもトルコとギリシャの民族楽器を使っているので
ここに載せた。
Topkapi : Manos Hadjidakis 
此れは余談だが、マッカーシーによる赤狩り時代
社会派のジュールス・ダッシンは、エリア・カザンにより
共産主義者と密告され、ハリウッドを追われた。
その後ジュールスはヨーロッパに拠点を移し
ギリシャ女優メリナ・メルクーリと出会い
「日曜はダメよ」「死んでもいい」に先の「トプカピ」と
沢山の名作を共に製作した。
一方、エリア・カザンの、その後の作品は
以前の「紳士協定」「エデンの東」「「波止場」程の
完成度は無く、低迷していたが
晩年、アカデミー協会から長年の功績を讃えられ
アカデミー名誉賞を与えられたものの
授賞式のスタンディング・オベーションに
彼の過去を知る人は、席を立たなかったという。



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