2017年2月18日土曜日

「イングリッド・バーグマン」〜愛に生きた女優〜
此れは先日、BSで放映していた長編ドキュメンタリー作品。
私は彼女の出演作をDVDに焼き、殆ど持っているほどの大ファンだが
スウェーデンからハリウッドに行った女優
という位しか知らなかった。
此の記録映画はカメラ好きの彼女が自ら撮った
膨大なホーム・ヴィデオと、書き残した日記を元に
家族の証言を交えて、並の記録映画というより
ある女優、いや一人の女性の奔放な生き様を
丁寧に描いた長編映画のような趣がある。
まず、彼女は母国スウェーデンで既にトップ女優であった。
それをハリウッドが”グレタ・ガルボ”の様に引き抜いた訳である。
その頃、彼女はもう結婚して娘を一人産んでいた。
それでも単身ハリウッドに渡り、成功した後
夫と娘をスウェーデンから呼び寄せ、プール付きの家で
贅沢な暮らしていたが当時、勃興していた
イタリアン・ネオリアリズモ映画の巨匠ロベルト・ロッセリーニ監督に憧れ
手紙を書き、渡伊し女優として一緒に作品を製作し
また愛人として息子と双子の娘2人を生んでいた事は知らなかった。
双子の1人が「ブルーヴェルヴェット」の
母親によく似たイザベラ・ロッセリーニ。
イングリッドは自分や子供たちを実によく撮っている。
それは彼女が早く母親を亡くしカメラ好きの父親が
彼女をよく撮影したのでカメラの向こうに
父親の面影を追っていたのではないか?と
娘のイザベラが語っている。
それにしても残されたイングリッドの映像が美しい!
若い時も、老いても此れだけ”オーラ”の漂う女性は、それほど居まい。
ロッセリーニと別れても、いや別れる前に
既に、新しい恋人を作っている。
そう、彼女は実に”恋多き女”だったのだ。
その”恋”が彼女の美貌を支えていた様にも私は思える。
それに振り回された家族は、たまったものでは無いが
彼らは母を恨らむどころか今や尊敬しているのが面白い。
「カサブランカ」「汚名」「ガス燈」「追想」
「誰がために鐘は鳴る」と
アカデミー主演女優賞3回、ノミネートは7回に及ぶ
此の大女優は生涯現役として、その老いた姿も
演技の衣装として生かし「さよならをもう一度」
「黄色いロールスロイス」「秋のソナタ」と魅力を振りまいた。
”女の一生”として彼女自身こそが
最高の作品だったのでは無いかと私には思えるのだ。

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