2016年11月22日火曜日

今朝の津波警報に起こされて、実は可成り慌てた。
それと言うのも津波のドラマと映画を2晩続けて観ていたから。
まずは山田太一ドラマ「五年目のひとり」から
既に五年も経ったか?と思うほど
東日本大震災は昨日の事の様だが
此れは、その津波で家族を全て失った男の物語。
五年と言う歳月にも癒されない心を描いている。
その心の傷を負った獣医を、見かけがタフな渡辺謙に
演じさせているキャスティングがまず巧い。
しかも、およそ似合わないパン屋のアルバイトという役で。
その世話をした同郷の未亡人役に市原節子。
自ら精神病院に入った渡辺謙をリハビリとして
知らない町に呼んだのだ。
彼女の”平野レミ”風に作り込んだ明るい芝居が渡辺謙の
暗さとのコントラストで効いている。
男は偶然訪れた中学校のダンスコンテストで
踊る或る少女を見つけ
後を追い「一番キレイだっと!」と告げる。
少女は戸惑い、その出来事を家族に話すと
その男は危険だ!と警察まで呼んでしまう。
その謎解きが、最初のプロット。
結局、少女は彼の亡くした娘が自分にウリ二つ
という事が解るのだが・・・。
脚本・山田太一と気のあった
ベテラン演出家・堀川とんこうの指導のもと
少女を演じる蒔田彩珠の演技が自然でとても良い。
話を聞いて同情した娘が彼に近づく事を、周りは良しとせず
引き離しにかかり、彼はアルバイトの終了と共に
故郷に戻るという切ない結末。
地震から五年も経つのに、絶えずフラッシュ・バックする
彼の記憶、津波後の荒野に誰もが言葉も失くす。
”それを忘れないと生きて行けない。だけど忘れたくない。”
彼が少女を間違えて自分の娘の名前を
呼んでしまう心情に泣かされた。

そして次の日観たのが此の映画「ディ−プ・インパクト
ポスターだけ観るとブルース・ウイルスの「アルマゲドン」の様な
SFアクション映画と思うが、実は地球に巨大な彗星が落下し
氷河期の様に生物が滅ぶかもしれないという事態に
政府が、どう立ち向かうか?という危機管理。
そして、いよいよ最期と言う時に、家族はどう有るべきか?
その人間ドラマを女性監督ミミ・レダーが丁寧に描いている。
出だしは、高校の天文部に所属する少年が
たまたま新しい彗星を見つけた処から始まる。
此の少年を「ロード・オブ・ザ・リング」前の
イライジャ・ウッドが、ピュアに演じている。
その写真から、彗星が地球に向かって来る事を解読した
天文学者は、それを発表する前に交通事故で死んでしまう。
此の慌て者の天文学者を「アメリカン・グラフィティ」の
チャールズ・マーティン・スミスが演じて懐かしい。
さて映画の主人公はニュース番組の女性キャスター
それを演じたティア・レオーニはイタリア系のアメリカ人。
此のプロデュースを手掛けたスピルバーグに認められ
「ジェラシック・パークーⅢ」でもヒロインを演じた実力派。
彼女は政府が何かスキャンダルを隠していると
調べている内に、FBIに拉致されてしまう。
果たして彼女が着いたところは、ホワイトハウス。
政府が何ヶ月も前に此の彗星の接近情報を知り
その対策が完成するまでの、それは重要秘密事項だったのだ。
黒人大統領をモーガン・フリーマンが演じている。
現実にオバマ黒人大統領が誕生する、ナント7年も前にだ。
ハリウッドは、いつも先を見越してキャスティングするが
今回のヒラリーの女性大統領は、見事に外した。
話も横に外れたが
此の惑星衝突回避対策は、彗星が大気圏にいる間に
スペース・シャトルから宇宙飛行士が。その彗星に飛び移り、
ド真ん中に穴を掘り、原子爆弾を打ち込み
彗星を木っ端みじんに破壊するという計画だった。
しかし、それは彗星を只2つに分裂させただけで失敗。
彗星の地球への衝突は、避けられなく成った。
果たして滅亡を前に人類は、その間に、何をすべきか?
シリアスに”種の保存”の為、ノアの箱船と同じ様に
動物、植物、科学者、医学者、文化人、芸術家を
地下の特別シェルターに避難させるという計画。
そして一般人も、特定の人数が抽選で選ばれる。
しかし外れた者は衝突の際の津波で死ぬほかは無いのだ。
暴徒化した国民に戒厳令が敷く、
海岸から山頂へ逃れる人々で道路は大渋滞。
この最中、諦めて自殺する人、結ばれたり離れたりする男女や
親子のドラマがエモーショナルに描かれ、クライマックスへ。
此れ等の人間描写の巧さがが、SFXだけのスペクタクル映画と
一線を引く作品に成ったのは監督ミミ・レダーの力。
そして感動の結末は、観てない人の為に内緒。
此のオンエアの録画中に、実際に在った東北地震の注意報が
画面にスーパー・インポーズされ
まさに直ぐそこに在る危機感はマックス!
先のメンタルな山田太一ドラマと此のパニックが入り交じり
今朝、私は飛び起きたと言う訳。
幸い伊豆半島まで津波は来なかったが、久しぶりに
高い処まで持って逃げるリユックを確認した次第。
戦争が終わった平和な時代に生まれた筈だが
此の国、そんなに甘くは無いのだよ。

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