巨人俳優
先日、放映していたディック・リチャーズ監督の
名画「さらば愛しき女よ」に出ていた背の大きな俳優の名は
ジャック・オハローラン(198cm)
映画では個性派美人女優シャーロット・ランプリングに
翻弄される哀れな男ムース(大鹿)・マロイ役を演じた。
でも彼は最初の「スーパーマン」(1978)で
クリプトン星を追放された3悪人の1人。
あの鼻の潰れた独特な風貌は
元ボクサーだったせいらしい。
そして、もっと背の高い俳優が
007の敵役”ジョーズ”こと
リチャード・キール(218cm)
その背の高さゆえ学生時代は
バスケット選手で活躍したが、早くに映画に抜擢され
ロバート・アルドリッチ監督の「ロンゲスト・ヤード」
「007私を愛したスパイ」で人気が出て
「ムーンレイカー」では彼女もデキる良い役になっていた。
クリント・イースト・ウッドの「ペイル・ライダー」等
出ていれば目立つ存在だったが交通事故で車椅子を余儀なくされ
74歳で亡くなっている。
更に背の高いのが、日本でも有名なプロレスラー
アンドレ・ザ・ジャイアント(223cm)
ブルガリア生まれのポーランド系フランス人
私事ながら2度も彼を生(なま)で観ている。
といってもプロレスを観に行った訳では無い。
一度は成田空港で、向こうから歩いて来て
余りの巨大さに、幻覚かと思った。
2度目はハワイ・ロケで泊まったホテルが一緒で
屋上のプール・サイドでマネージャーらしき人と
昼下がり、カードを楽しんでいた。
何気なく観ていたら、金属製の椅子がドサッと突然潰れた。
幸い大した怪我も無くすんだ様だったが
彼は背の高さだけでなく、重さも半端でなかった様だ。
昔、プロレス中継で古館伊知郎は、
彼を”巨大なる人間山脈”
はたまた”一人民族大移動”と例えたが
あながち本物を観たらオーバーではない。
生涯、殆どプロレスラーで通したが
ロブ・ライナー監督の冒険映画
「プリンセス・ブライド・スートーリー」に
にも良い役で出演していた。
日本に、それほど大きい俳優は映画界には居なかったので
世界のクロサワは外国映画の様な映像を作りたいと
(確かにフランス俳優などは、背の高さがまちまちだ)
それで映画「用心棒」に元力士でプロレスラーだった
羅生門綱五郎(203cm)を起用した。
凸凹と並んだヤクザ達の中で、とても絵になる役者であった。
でも、彼は以前に東映の「新諸国物語・七つの誓い」や
大島渚監督の「太陽の墓場」にも出演していた。
手前に居る田中邦衛(167cm)が、やたら小さく見える。
彼は台湾人だが、戦前の日本統治時代に育っていたので
日本語がペラペラ、誰もが彼を外国人とは思わなかった。
今の相撲界は外国人だらけだが
当時、国技にはタブーの外国人の角界入り
そしてプロレスラーへの転向は
あの北朝鮮生まれの大プロレスラー力道山と重なる。
しかし、力道山と違い、生き方は不器用だったらしく
晩年は知る人も無く、消えて行ったのが哀れ。
彼等、巨人俳優は悪い言葉で云えば ”フリークス”である。
並みの生活をするには、外見が目立ち過ぎ
小さい頃から虐められたり、その苦労は想像を絶したものだろう。
それでも、その特別な容姿を生かしたショービジネスで
何とか活路を見出し、その存在感で勝負した。
今も人々の記憶の中で鈍い光を放つ
まさに”大きな星”たちと云えよう。
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