2016年1月23日土曜日

盗まれたクメール石像  〜密売ルートを負う〜
最近BS-1のドキュメンタリー番組が面白い。
此れもドイツで制作された作品だが
カンボジアの内乱に乗じて、ポルポト派に破壊された遺跡から
歴史的にも貴重な石像を国外に運び出し
密売する窃盗団と、そのルートを追っていた。
まず、英国のザザビーズがN.Y.でオークションに出そうとしていた
クメール王朝の石像が盗品ではないか?と
訴えた1人の女性の行動をドイツ撮影クルーが迫る。
その証拠に現地カンボジアの遺跡に
切り取られ残された石像の2本の足が存在する。
そしてタイに住む”ザ・コレクター”と呼ばれる男が
戦利品の様に作ったカタログ本に
その本体は掲載されていて、現地の足の写真と
その載っていた写真がピタリと合う。
その男をインタビューすると奥目も無く出て来た
その男は、まるで007の悪役の風貌
”私は盗んで無い”と言い張る。
しかし、密売ルートはカンボジからタイへ
そしてイギリス、それからベルギーの大金持ちの庭園に。
そのベルギーの金持ちの庭園が凄い!
此れも007に出て来そうな大豪邸。
乗馬用の厩舎まで在り、まさに貴族の生活。
その主が亡くなって石像は競売にかけられたという訳
だからザザビーズは石像の出何処はハッキリしていて
盗品ではないと主張。
しかしアメリカには
麻薬や武器と同じ様に、高額なマネーが動く
美術品の密売ルートを監視するFBIの様な組織が在り
それがザザビーズのオークションに待ったをかける。

結局、世間体を気にしたザザビーズは折れ、カンボジアに
その石像を返還する事に。
そして実は、メトロポリタン美術館や全米の博物館に
それと同じ遺跡から盗まれた石像が在り
それらは総てカンボジアに此れから返還される予定だと。
1人の女性の執念が実ったカタチだ。
ドゴール時代にフランスの文化相まで務めた
作家のアンドレ・マルローが
戦前、カンボジアで遺跡からレリーフを盗んで逮捕される
という事件が有ったのも紹介され
今でも生きている彼の前夫人のドイツ女性が
「盗んじゃいけないのを判ってました?」とのインタビューに
「あんなジャングルの奥に在るんですもの
誰が盗ったって判りゃしないわよ」には笑った。
BBCの作品もレベルが高いがドイツの撮影班は
光と影が美しく映像がシャープで、C.G.を使った遺跡や
美術品の説明は、日本の、その手のドキュメンタリーとの
大きな差を感じた。

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