2015年4月2日木曜日


<追記>
東海道五十三次合作絵巻 “日本画”を創った巨匠たちの旅立ち
此れはドキュメンタリーでは無いかも知れないが
興味深くて最後まで見入ってしまった。
丁度100年前、20日がかりで東海道を写生旅行した画家達が居た。
上の写真、横山大観、下村観山、今村紫紅、小杉未の4人だ。
世代も違うし、日本画、洋画とジャンルも異なるが
新しい絵画を目指す志は一つと
東海道五十三次をテーマに連作の絵巻物に挑戦した。
その史実を元にというか
その作品から創作したオリジナル・ドラマ。
「NHK日曜美術館」に出ている俳優・井浦新が司会だ。
彼等が東海道各地で描いた部分を細かく解説しながら
黎明期にあった日本絵画のパイオニア達の
溢れる創作意欲を描く事が狙いだ。
さながら他局の「美の巨人たち」のロング・ヴァージョン。
緩〜い演出で、お世辞にも完成度は高いとは云えないが
それでも企画者が意図する処は伝わった。
その絵巻の制作スタイルは4人のコラボレーション。
昼にスケッチした下絵を各自、夜間に仕上げ、
旅に同行させた表具師が、それを繋げて行くという作業。
それぞれの異なる画風が、絵巻という形式で
連作するのはモダン・ジャズのセッションと似て
各々隣りに来る絵を意識せざるを得ない。
日本古来の流派に拘る日本画家が
西洋の自由な油絵の筆遣いに
又その逆と互いに影響されているのが
現代のキュレーター達によって
丁寧に解説され、とても興味深い。
そして、此れも演出家、脚本家の創作だろうが
何れも酒豪で名高い画家達の酒宴に
彼等が日本絵画の将来を語る場面で
”芸術は時に流れる河だ、私はそれに一滴の雫を垂らしたい”
という台詞にはフィクションとは云え、心打たれた。
芸術とは先へ進むものなのだ。
結局、彼等は九巻の絵巻物を完成させるが
「東海道五十三次合作絵巻」横山大観、下村観山、今村紫紅、小杉未
彼等が此の旅で何かを掴み
それを強く反映させたのは彼等の後の作品を見れば
自ずと解る。
一つ云わせてもらえば、NHKの映像の世紀の様に
ニュースでも良いから当時の社会状況や
現地での彼等の取材風景をドラマに織り込めば
更にドキュメンタリーとして時代を感じさせ
構成が立体的に成ったのでは無いかと惜しまれる。
<追記>
その後、録画していた「美の巨人たち」を観た。
偶然、同じ絵巻、伊藤若冲の「乗興舟」を取り上げられていた。
「乗興舟」伊藤若冲
こちらは一人で10m以上の長尺
スタイルは臍曲がりの若冲らしく、白黒の拓版画
拓版画と云うものを初めて知ったが
所謂、版画のネガを刷る様なもの。
例えば明るい空が真っ黒に、山の影は逆に薄い灰色と
それは観る者の想像力を喚起刺激する。
此の番組は時々、遊びで変な解説者を仕立てるが
今回は怪優・本田博太郎。
彼の奇妙な語り口が若冲の魅力を増幅させた。
若冲はタイルを埋め合わせた様な巨象の絵を描いたり
極彩色の花鳥図で異端の画家として知られているが
此の日本画の開拓者は横山大観らより
遥か昔、江戸時代に居たのだ。
「淀川両岸絵巻」円山応挙
その若冲ですら上の円山応挙「淀川両岸絵巻」に
影響を受け「乗興舟」を描いたと云う。
それ等の巨匠たちが用いた絵巻の形式は
古くは「源氏物語絵巻」「信貴山縁起絵巻」「鳥獣戯画」と
まさに大河の様に流れる日本画の歴史そのもの
”知るを楽しむ”ことの興味は尽きない。

2 件のコメント:

  1. さんせっと2015年4月3日 9:12

    画家達のスケッチ旅行と言えば、昭和10数年頃「川瀬巴水」が韓国に仲間と出掛け、当時の風景を版画にしたのを
    先達てデパートの催事で観ました。確か、其の辺のお話等も、以前NHKで放映した様な?そう言うのって、結構ライバル心に火が点いて、和気藹々と言いながら切磋琢磨しちゃうんじゃないのかなw処で、この場をお借りして何ですが、又夏期特別講座4月1日から、申し込み受付してます。宜しかったら、覗いて見て下さいませ。

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  2. ハイ通知は来ていますが
    まだ封を開けていません。
    真夏は上野の森でも暑いので
    ・・・。

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