第2次スペクタクル映画(追加)
アレクサンドリア (2009)
予備知識無しに此の作品を観たら、もの凄いスペクタクル映画だった。
有名なクレオパトラ王朝がローマ帝国に滅ばされた後
時代は4世紀末ローマ帝国支配下のエジプトの大都市アレクサンドリア。
そこは上の写真にも見られる世界七不思議の大灯台に
当時としては70万巻の書物が収集された世界最大規模の
図書館が在ったと伝えられる都市である。
図書館が在ったと伝えられる都市である。
だから冒頭、画面は宇宙に始まり地球に寄って行き
地中海へ、そして此のアレクサンドリアの俯瞰
更に彼女が生徒達に天文学を教える図書館の講堂へ一気に
入って行くエネルギッシュな導入に驚かされる。
監督はスペインの鬼才アルハンドロ・アメナーバル。
「海を飛ぶ夢」でアカデミー外国語映画賞を取っている。
今、世界はイスラムの教義を掲げたISILの不差別テロの脅威に
晒されているが、此れも、まさに宗教戦争とも云うべき
エジプト多神教徒がキリスト教に改宗させられ、それが又
ユダヤ教徒に迫害される激動の時代を
天文学を教える女性哲学者ヒュバティを主人公に描いている。
彼女は、その頃の天動説の誤りに気付き、
地動説を研究している最中なのだが
時代はキリスト教の新興で、そんな科学に誰も目を向けず
彼女は暴徒により、魔女として迫害される。
カソリック教徒の多いスペインで、良く此の様な
キリスト教批判映画が製作されたのかが不思議だ。
財政破綻の噂の有ったスペインだから尚更だ。
(世界映画界の七不思議に入るかも知れない)
(世界映画界の七不思議に入るかも知れない)
そんな楽屋裏はともかく、人々を幸福に
世界を平和に導く筈の宗教が
それぞれの正義を唱え他宗教を攻撃する権力闘争の構図は
既に此処に始まっていたのだと気付かされる。
主人公の哲学者を演じた女優レイチェル・ワイズは
美貌に演技力を備えているので
彼女を取り巻く若い生徒達や奴隷を魅了し
宗教を超えた彼等の愛憎ドラマ映画にも成っている。
だが何より監督アルハンドロ・アメナーバルの意図は
宇宙からの目線とも云うべき歴史観が総て。
原題”アゴラ=広場”で殺し合う異教徒たちは
超俯瞰で観ると蟻の群れの蠢(うごめ)き。
結局、地球上の人類は歴史から何も学んでいないのだ。
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