ピラニア軍団
室田日出男(1937〜2002)
彼は東映の悪役俳優の集まり
”ピラニア軍団”のリーダー格だった。
任侠ものの鶴田浩二や高倉健の敵役を
恵まれた体格と睨みのきいた顔で演じた。
同じ”ピラニア”の川谷拓三と共に脚本家・倉本聰に
抜擢された「前略おふくろ様」の鳶役で人気が出た。
しかし彼の人生は波瀾万丈
酒の上でのケンカや、覚せい剤の使用で逮捕され
幾度も謹慎を余儀なくされた。
まさに演じた役と実物の差が余り感じられない
“勝新”の様な危ない役者だった。
しかし、そのリアルな存在感は
「仁義なき戦い」シリーズでは一際輝き
深作欣二・実録路線の鍵を握っていた様に思える。
世間の評価もブルーリボン助演男優賞(1992)を取り
高まって来た矢先の早い死(64)は残念と云うしか無い。
義理に厚く、後輩の面倒見の良さは
まさに”仁義あり”の男であった。
だいぶ前に載せた此れも一緒に。
此の、人なつこい顔を皆さん覚えていると思うが
父親はカメラマン、母親も女優という映画関係の血筋である。
しかし、それは戦前の事で満州から引き揚げてからは
映画館雑用係の母の収入で暮らしていたという貧乏育ち。
だから彼は子供の頃からポスター張り等を手伝いながら
俳優に憧れ育った。
そして念願の東映撮影所に入れたものの
大部屋俳優として死体役、斬られ役ばかりで中々売れなかった。
それでも彼の個性は強いものがあったので
東映ヤクザ映画全盛時「仁義なき戦い」シリーズで
その死に方で、頭角を表しポスターに名前が載る様に成った。
私の記憶に残っているのは
深作欽二監督の「県警対組織暴力」で菅原文太の刑事に
取調室で全裸でボコボコにイタブラれるチンピラ役
刑務所に入ると、もうヤレないからと
呼ばれた女房と署内便所で交わるのが
何とも可笑しくも哀れだった。
何とも可笑しくも哀れだった。
しかし此の演技で京都市民映画祭男優助演賞を
得たのを皮切りに次々と作品にも恵まれ
得たのを皮切りに次々と作品にも恵まれ
テレビでも「前略おふくろ様」で人気が沸騰。
CMにも「どん兵衛」山城新伍と共に出演
TVドラマにも「黄金の日々」「國語元年」「チョッちゃん」と
押しも押されぬ国民的スターと成った。
いつも純情で全力投球の体当たり演技が愛されていたが
惜しくも肺がんにより54歳の若さで亡くなった。
まさに彼の得意だった鉄砲玉役の様な人生だったと言える。
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