2014年8月31日日曜日

女経(1960)
増村保造・市川崑・吉村公三郎のオムニバス映画
以前から観たいと思っていた此の作品
大映が版権を売ったとみえてTSUTAYAの棚に並んでいた。
女の生き方をテーマに、オムニバス3編構成。
まず1話は増村保造の「耳を噛みたがる女」
主演は若尾文子。
当時まだ在った隅田川だるま船育ちの下町娘で
やり手のキャバレー・ホステスという設定。
”男はこうすると喜ぶのよ”と客の耳を噛んでは金を貯めて行く。
金持ちの坊ちゃん・川口浩に本気で惚れたふりをして・・・。
同じホステス先輩役で左幸子が良い味を出している。
イタリア留学した監督・増村とアプレ役若尾のコンビが絶品。

2話は市川崑の「物を高く売りつける女」
主演は此の頃、溜息が出るほど美しかった山本富士子。
市川崑に演出された相手役・船越英二との軽妙なやり取りが
なんとも粋で洒落ていて面白い。
女盛りの山本富士子は美しいだけでなく
演技も素晴らしい大女優だったなと改めて実感。
自殺した怪優・大辻司郎がチラッと出ている。

3話は吉村公三郎の「恋を忘れていた女」
主演の京マチ子の、柔らかな言葉も含めた
本物の”京女ぶり”を楽しめる。
名優・初代・中村鴈治郎を相手の絡みの巧さ。
女一人で旅館、クラブと経営を伸ばして来た後家が
落ちぶれた昔の男(根上淳)に出会い
文字通り忘れていた恋に目覚めるという話。

その頃フランスやイタリアで流行っていた
いや、コチラのが先だったかも知れない。
オムニバス映画(「輪舞」「ボッカチオ'70」)に
大映が本気で取り組んだ此の作品は
オールスターと云ってよい程の贅沢なキャスティング。
脇役に叶順子や野添ひとみ、そして川崎敬三に田宮二郎と
主演クラスの俳優が続々出ている。
贅沢なのは、それだけではない。
カメラが宮川一夫(「雨月物語」「用心棒」)
小林節雄(「雪之丞変化」「黒い十人の女」)
村井博(「暖流」「雁の寺」)と
此の作品前後も日本映画の傑作を撮り続けた
名キャメラマン達が作った濃密で端正な映像美は
当時の東京と京都の大映撮影所のレベルが
如何に高かったかを証明するもの。
音楽は芥川也寸志
テナー・サックスのジャズの音色がモダンで
スタッフはそれぞれ異なるのに全編に統一感が有り
まさに日本映画の豪華・三段重ね懐石弁当といった具合。
此んな”お宝”が今まで埋もれていたとは本当に勿体ない。
何はともあれ是非DVDを借りて、ご覧あれ!と
アタシャ、TSUTAYAの客引きか(笑)

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