2014年7月23日水曜日

マージン・コール(2011)
私は映画や音楽に関しては強いつもりだが
事、経済と云うものに、大方のご想像通り大変弱い。
日本経済新聞は取っていないし
経済界のお偉方の名前も殆ど知らない。
それでも”リーマン・ショック”という言葉ぐらいは知っている。
此の映画は、どうやら、それを題材にしていると
始まって三分の一位で、やっと気が付いた。
物語は大手投資銀行の大掛かりなリストラから始まる。
N.Y.が舞台だから切れの良い斬新な映像がサスペンスを盛り上げる。
いきなり会社から首を宣告された社員が、やりかけた仕事を
若い社員にデータとして渡し「気を付けろ!」の
言葉を残し退社する。
その社員が何気なく開いた、そのデータには
恐るべき業績赤字、会社の存亡が予測されていた。
それを彼が上司に報告すると急遽重役たちが会社に招集される。
これが真夜中、全員揃うのが米国社会の凄さ。
彼等の困惑と対応が此の映画の見所だ。
先日も此のサイトで紹介した「ラスベガスをぶっつぶせ!」の
ケヴィン・スペイシーが重役の1人として
今回は悪役ではなく、マトモな主役で、その問題に立ち向かう。
直属の上司は若くて役に立たず、その補佐役デビー・ムーアも
ヒステリックで手が付けれない。
こう云う主演級の女優を使うのが贅沢。更に
ヘリコプターで仰々しく登場した会社のオーナーに
彼はキャリアを買われ、直接相談される。
年収約80億円のオーナー役がジェレミー・アイアンズ。
流石の貫禄、それでも自分の利益しか考えない彼に、
今の危機的な状況を伝えても
彼からは無責任な答えしか帰って来ない。
結局、会社が倒産する事が”世界恐慌”を起こす引き金に
なる事が解っていてもだ。
この辺りの映画の緊張感たるや、金融経済が丸で判らない私にも
中東の地雷撤去の映画「ハート・ロッカー」の
起爆スイッチを外すのと、殆ど変わり無い状態に思える。
やはりアメリカと云う国の途轍もない巨大さに恐怖を感じた。
それを主人公のケヴィン・スペイシーの愛犬の死と
先が読める”世界恐慌”に、打つ手の無い無念さ重ね
静かに表現した脚本と監督の巧さに感心した。
そのディテールの細かさ、例えば彼等が普段、幾ら給料を貰い
それで、どんな車やスーツを着て、どんな生活をしているか?が
それぞれキッチリ描かれているので、只のサスペンスでは無く
米国現代社会の人間ドラマが見えて来るのだ。
そんな人間達が犯した”ミス”が今なお続く不況の原因だと
云う事を此の映画は解り易く面白く教えてくれる・・・はずだが
それでも私には”リーマン・ショック”が
”風が吹けば桶屋が儲かる”程度にしか
理解出来ないので、誰か教えてくれまいか?

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