2014年4月23日水曜日

山田洋次の世界
昨日の大島渚や吉田喜重などが
フランスの影響を受けた松竹ヌーベルヴァーグで
騒がれている頃、同じ企業内で地味な作品を
撮っていたのが此の山田洋次。
松本清張の「霧の旗」で社会派サスペンスを目指すも
やはり彼の得意とするのは喜劇だった。
TV用に書いた脚本「泣いてたまるか」や
落語をベースにした「放蕩息子シリーズ」で発掘した
渥美清の「男はつらいよ」は
二人のコンビをスクリーンにまで広げ
それは盆正月のドル箱映画と成り日本映画を活性化し
ギネスブックに載るほど続いたが
渥美の死により、それは終焉した。
そのヒロイン”さくら”を演じていた倍賞千恵子で
日本の高度経済成長から外れた人々のドラマ
「家族」「同胞」「故郷」に「黄色いハンカチ」。
社会の底辺で真面目に生きようとしている若者を
「学校」シリーズで描いたが
「男は・・・」の観客動員とは比べようも無かった。
更に人気の藤沢周平・原作の時代劇シリーズも
「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鷹の爪」「武士の一分」と
作品として高い完成度ながら、観客動員は低迷している。
やはり山田の得意な落語ベースの人情ドラマには
渥美清というタレント=才能は不可欠で、それは
日本映画にとって奇跡的な出会いだったのだろう。

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