2013年1月20日日曜日

(日本映画・女優編)
浦里はるみ(1934〜2011)
私が昔勤めていた新宿三丁目の会社の近くに
確か「宮城野」とか云う裏ぶれた小料理屋 が在って
昼は焼そばが美味しかったので時々行っていたが
それを焼くのが何処か見覚えのある、崩れたカンジの年増女だった。
それが東映時代劇に出ていた”浦里はるみ”と
私が気づいた頃には店は既に畳んでいた。
私にとって最初に出逢った”おとなの女”が
”幻の女”に成ったわけである。
彼女は新派出身、その着物姿の美しさから東映に入り
時代劇のお姫様から鳥追い女と
私がよく観ていた東千代之助の「弓張月シリーズ」

大川橋蔵の「若さま侍捕物帳シリーズ」
市川右太衛門の「旗本退屈男シリーズ」
片岡千恵蔵の「大菩薩峠シリーズ」等に出演
それらの主人公に付きまとう怪しげな悪女を演じ
最後は主人公に惚れて主人公を助けてしまい
そのあげく裏切り女と殺されるパターンが多かった。
考えれば此れは可成り演技力と色気が無くては出来ない役で
それをやっていた彼女はなかなかの演技派だったワケである。
それなのに、あまり文芸作品に
恵まれなかったのが今となれば惜しい。
ごく晩年に久世光彦ドラマに小料理屋の女将役で出てきたが
その鼻にかかった声も懐かしく
昭和の香りを、たっぷり漂わせていた。

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