2025年11月14日金曜日

TVドラマ傑作選
 第12話 ”ぬれ手に油の三万両” 黒田義之監督作品
大映の倒産後、勝新太郎が自ら立ち上げた勝プロで
TV版・座頭市物語をシリーズ化し、その次に
選んだのは講談・天保六花撰に登場する河内山宗俊
あまり今では馴染みの無い主人公だが
当時、「座頭市」や「悪名」のレギュラーを抱えていた
彼には、そのまま行ける髪型だったからだろうか?
河内山宗俊とは江戸城に務める数寄屋坊主
旗本と同じで直参だが仕事は、お茶汲みだから給料は安い。
それで、町内の揉め事に首を突っ込み解決を装い
金を指しめるという際どいキャラクター。
まあ”悪名の八尾の朝吉”を江戸時代に移した様な。
田宮二郎の”モートルの清次”の代わりに
火野正平と”ヒデとロザンナ”のヒデが子分にして。
此れに数寄屋坊主だから刀は振り回さないので
友達の浪人・金子市之丞こと原田芳雄が助っ人
彼の住む船宿の女将に草笛光子、其処に桃井かおりが
居候しているという今思えば豪華なキャスティング。

勝新は麻薬をパンツに入れ捕まり
”もうパンツは履きません”と最期までその行き方はアウトローだったが
作品も斬新な表現を目指しTVコードを破っていた。
この回では、今では考えられない桃井かおりが
河原崎健三にレイプされたにもかかわらず
追われる彼を助けるという複雑な女心を演じている。
勝新が座頭市で組んでいた中村努の脚本もよく出来ているが
やはり桃井かおりの演技が素晴らしい。
この回の敵役は冨田仲次郎。
この顔は悪役しかやらなかったからご存じだろう。
兎に角、当時の個性の強い俳優が続々登場する此のシリーズ。
監督も森一生、三隅研次、工藤栄一
カメラは宮川一夫をはじめとして大映の名手たち
その映像のクオリティーの高さに舌を巻く!

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