2025年5月16日金曜日

「座頭市と用心棒」(1970):岡本喜八監督作品。
勝新ファンとしては公開当時、当然観てる作品だが
だいぶ前だし、当時と今では見方も少し変わっている。
製作は勝プロ、勝新太郎と名を連ねているのが
度々私が褒めている美術の西岡善信。
市川崑や篠田正浩と日本映画の名作の美術を一手に引き受けていた美術界のマエストロ。
この作品ではあの飛騨高山らしき合掌作りの村を見事にオープンセットに構築した。
此れには予算も掛かるから当然プロデュースも兼ねざるおえないだろう。
それを楽しんでカメラ・アングルを作ったのは宮川一夫。
宮川一夫は黒澤明の「用心棒」で三船敏郎を撮っている。
此のスタッフ・キャスティングは勝新のクロサワへのオマージュか?
この10年後、
「デルスウザーラ」や「トラトラトラ」のノイローゼの後
黒澤明は「影武者」で勝新を起用した。
勝新とクロサワ、お互い相思相愛の関係まさにマリアージュ、
時代劇映画の傑作が出来る筈だった。
しかしその頃、勝新はイチ俳優というより既に
クリント・イーストウッドの様な黒沢と対等の監督に成っていた。
クロサワの演出術を録画して勉強しようとしていた。
此れにクロサワは我慢が出来ず、彼を降板させた。
此れに撮影の宮川一夫は体調を理由にクロサワ側に付かなかった。
それはそうだろう彼は勝新と共に大映を支えた戦友なのだから。

外国人が撮った、そのメイキングを観ると、
クロサワは仲代達矢に勝新の真似をさせている。
それはまさに”影武者”本物にはなる筈も無い。
日本映画界、最大の不幸な事件だった。
話が横に逸れたが兎に角この映画キャスティングが面白い。
大映だけでは決して出来ない新劇俳優の滝沢修、米倉斉加年、岸田森、常田富士男まあ監督岡本喜八の贔屓・寺田農は別として
何より若尾文子が宿場女郎の汚れ役は不自然なくらいに綺麗に撮っている。
日本映画の大スター二人を対決させた贅沢なリブート作品。
今思えば勝新太郎、本当は 黒澤明に「用心棒」「椿三十郎」の3作目として
此れを監督して貰いたかったんだろうな・・・。


 

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