「ケイン号の叛乱」(1954) ;エドワード・ドミトリク監督作品
映画史上に残る此の名画を不覚にも私は観ていなかった。
先ず主演はハンフリー・ボガード。
ご存知、ハードボイルド映画のアイコンになる程のスターである。
まあ「マルタの鷹」「三つ数えろ」「黄金」「キー・ラーゴ」に
極め付けは「カサブランカ」とハリウッド通りの舗道の
スター・オブ・フェイムの一番の人気。
その彼も、少し前まではジェームス・ギャグニーの敵役の
悪役専門であった。
そう頭が大きくて足も短く決してスタイルが良いとは言えず
まして、その苦味走った悪役面は色恋とは程遠い筈である。
その怖い顔を彼は此の映画では、スターの地位を捨て
一演技者として充分に生かしている。
物語は現代いや1954当時の米海軍の駆逐艦の乗組員と
新しく配属された艦長との確執を描いている。
まあ”戦艦バウンティ号の反乱”と同じだが
此の艦長役にハンフリー・ボガード。
彼のパラノイア=偏執狂と思われる行動に振り回されて
遭難しかけた時、それまで我慢をしてきた副艦長が
彼の指揮権を取り上げる。
果たして、それは正当であったか?を後半、軍事裁判として
映画は展開する。
副艦長と、その経緯を見てきた若い乗組員が反逆罪の被告として
また、その弁護に雇われたのが怪優ホセ・ファーラー。
彼は「シラノ・ド・ベルジュラック」のオスカー俳優。
「アラビアのロレンス」でピーター・オトゥールを痛めつけたトルコ将校
此のボギーとホセの演技の火花が此の映画のクライマックス。
此れにTV「パパ大好き」の父親役フレッド・マクマレイが
艦上小説家として”オセロ”のイアーゴ的な存在で絡み。
映画を面白くする。
裁判劇だが、それ以前に台風の暴風雨と高波に放浪される駆逐艦や
巨大な航空母艦の演習などスペクタクルな要素も含んで
此の映画の面白さは監督エドワード・ドミトリクの演出力大。
未見の人は是非!

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