此の映画もDVDは有るが再放映されなければ観なかったはずだ。
何十年ぶりに観て細部は殆ど忘れているから又、興奮した。
呆けるのも有り難いものだ。
オープニング、121歳の老人が養護院でインタビューを受けている。
特殊メイクをしているとは言え、当にそれらしいダスティン・ホフマンが見事。
(オスカーを取れなかったのが不思議)
そのインタビューで彼の数奇な運命が語られる。
開拓時代、白人の少年がインディアンに両親を殺され
通りかかった違う部族のインディアンに育てられる。
彼は小柄ながらタフなので”小さな巨人”という名前を付けられる。
身長166cmのダスティンは「真夜中のカウボーイ」でも
背の高いジョン・ボイドとのコンビが効いていたが
当に此の役にうってつけ。何処で子役と入れ替わったか判らない程。
それは兎も角、彼がやたら小さく見えるのが
オスカー・シュレンドルフ監督の「ブリキの太鼓」を連想させる。
そう、インディアンと白人の社会を、
自ら望んでは居ないのに行ったり来たりさせられる主人公の波乱万丈の人生は
”ブリキの太鼓”の背が伸びない少年オスカルのモノローグに似て
両親だけでなく妻や子供までもカーター将軍のワシタ川の虐殺で殺される主人公の
過酷な運命を呪う”ボヤキ”とも”諦め”とも受け取れ
それが歴史的な事実だけに、余計に哀しみを誘う。
アメリカ西部開拓は当に先住民族虐殺の歴史。
カーター将軍の暴走が、時代的に当時のベトナム戦争の
”マクナマラの誤謬”と重なり、監督アーサーの狙いは明確だ。
それでもダスティン・ホフマンのキャラが飄々としているから
どんな悲劇も喜劇の様に感じられ、シャイアン族の酋長が
”今日は死ぬには良い日だ”と、弱った体で丘を登り
楢山節考の様に鳥葬の準備を始めても
”雨が降って来たから止めよう”と、あっさりテントに戻るラストは秀逸だ!。
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