2023年3月10日金曜日

眠狂四郎魔性剣(1965):安田公義監督

今、BS12テレビで特集を組んでいる市川雷の此のシリーズ。

殆どは以前に録画して持っているが、中身は呆けて忘れているので(笑)

改めて観て興味深いのは狂四郎を弟の敵と付き纏うおりん役の嵯峨三智子

彼女は、ある程度の年齢の方ならご存知だと思うが大女優・山田五十鈴の娘。

山田と当時の二枚目スター月田一郎との間に生まれ

2人は早い内に離婚し、父親の月田に育てられた。

それでも親譲りの美貌の娘を映画界は放って置かず、

女優と成り、東映かから松竹へ。

そのころ私が観た「唐人お吉」で母娘共演を果たしている。

此の映画で山田が演じたらしゃめん"と蔑まれ、

落ちぶれた"お吉の夫・鶴松を奪う若い娘の役を演じた。

そう嵯峨は大女優からその妖艶さを受け継いだのだ。

さて前置きが長くなったが此の作品、彼女の魅力で、

眠狂四郎シリーズの中でも不思議な作品となった。

先ず監督の安田公義は時代劇専門の監督、戦前の日活京都で

山中貞雄や稲垣浩の助監督から、戦後は大映京都で監督となり

私が子供の頃観た「赤胴鈴之助」シリーズは彼の作品だった。

その頃から子役を使うのが上手く、「大魔神」「妖怪大戦争」と

子役をたくさん登場させているのが特徴。

此の作品でも、大名の後継ぎで誘拐される若君役を見事に演出している。

話は、そのイザコザに巻き込まれた眠狂四郎に次々と送り込まれる刺客

それも皆んな女で、色仕掛け専門 (尼さんから蛇使いまで)

まあ、柴田錬三郎小説は艶っぽく、それが大衆に受けた理由だな。

夭折の市川雷蔵は此の頃、既に体調を崩していたか?

頰はこけ、顔も青白く、それは当に狂四郎の死のイメージ。

熟れた女体たちとのコントラストが効いている。

それと狂四郎が転びバテレン=宗教を捨てたポルトガル神父

日本娘のハーフという設定だから茶髪(WBCのヌートバーみたいなもんだ)

どうせなら目もコンタクトにしてブルーだったら良かったのに。

此の映画にはスター・ウォーズのシスみたいな外人俳優が演じる

転びバテレン神父が登場。

黒ミサと称して祭壇に女の裸体を捧げる変な儀式を行う。

その怪しげな感じが、嵯峨三智子と重なり魔性剣という訳である。

来週は多情剣、その次の週は無頼剣と、もうどれがどれだか判らない。

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