今、BS12テレビで特集を組んでいる市川雷の此のシリーズ。
殆どは以前に録画して持っているが、中身は呆けて忘れているので(笑)
改めて観て興味深いのは狂四郎を弟の敵と付き纏う”おりん役”の嵯峨三智子
彼女は、ある程度の年齢の方ならご存知だと思うが大女優・山田五十鈴の娘。
山田と当時の二枚目スター月田一郎との間に生まれ
2人は早い内に離婚し、父親の月田に育てられた。
それでも親譲りの美貌の娘を映画界は放って置かず、
女優と成り、東映かから松竹へ。
そのころ私が観た「唐人お吉」で母娘共演を果たしている。
此の映画で山田が演じた”らしゃめん"と蔑まれ、
落ちぶれた"お吉”の夫・鶴松を奪う若い娘の役を演じた。
そう嵯峨は大女優からその”妖艶さ”を受け継いだのだ。
さて前置きが長くなったが此の作品、彼女の魅力で、
眠狂四郎シリーズの中でも不思議な作品となった。
先ず監督の安田公義は時代劇専門の監督、戦前の日活京都で
山中貞雄や稲垣浩の助監督から、戦後は大映京都で監督となり
私が子供の頃観た「赤胴鈴之助」シリーズは彼の作品だった。
その頃から子役を使うのが上手く、「大魔神」「妖怪大戦争」と
子役をたくさん登場させているのが特徴。
此の作品でも、大名の後継ぎで誘拐される若君役を見事に演出している。
話は、そのイザコザに巻き込まれた眠狂四郎に次々と送り込まれる刺客
それも皆んな女で、色仕掛け専門 (尼さんから蛇使いまで)
まあ、柴田錬三郎小説は艶っぽく、それが大衆に受けた理由だな。
夭折の市川雷蔵は此の頃、既に体調を崩していたか?
頰はこけ、顔も青白く、それは当に狂四郎の死のイメージ。
熟れた女体たちとのコントラストが効いている。
それと狂四郎が”転びバテレン=宗教を捨てたポルトガル神父”と
日本娘のハーフという設定だから茶髪(WBCのヌートバーみたいなもんだ)
どうせなら目もコンタクトにしてブルーだったら良かったのに。
此の映画にはスター・ウォーズの”シス”みたいな外人俳優が演じる
”転びバテレン神父”が登場。
”黒ミサ”と称して祭壇に女の裸体を捧げる変な儀式を行う。
その怪しげな感じが、嵯峨三智子と重なり”魔性剣”という訳である。
来週は多情剣、その次の週は無頼剣と、もうどれがどれだか判らない。

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