今は衛星中継のTVモニターを見ながらのドローン攻撃で
現代戦は映像だけのヴァーチャル・ウォーズだが
此れは”肉弾戦”という言葉がある頃、と言ってもそんな昔じゃない
僅か数十年前の第二次世界大戦の話。
ベトナム戦争と湾岸戦争で余りにも多くの兵士が命を落したので
子を失った親達の政府への批判が何方の戦争も失敗として終わらせた。
出征した米軍兵士で家族が複数戦死した場合、後継ぎが居なくなると困るので、
残された兵士は保護される”ソウル・サバイバー・ポリシー”という制度を
当時の米国政府が作った。
映画の本題は”Saving Private Ryan=ライアン兵士の救出”である。
主演は又お前かよ!というくらい登板数の多いトム・ハンクス。
でも彼の”ホレスト・ガンプ”の所謂ヒーローっぽくないキャラは
大尉役でも人間味があって此の戦争映画に関しては悪くない。
映画の冒頭30分、延々とノルマンジー海岸オマハビーチの戦闘というか
ドイツ軍の一方的な殺戮はリアル過ぎる残酷シーンの連続で
観客の殆どは気持ち悪くなるだろう。
映画は、その上陸後、本部からトム・ハンクス扮するジョン・H・ミラー大尉に、
本部から兄3人が戦死したライアン家の末弟ジェームスを救出せよ!
という特命が下る。
タイトルの"プライベート”はプライバシーのそれではなくて
軍隊用語で”一兵卒”の意。
戦地で行方不明の”ライアン兵士”を探し
米国本土に何としても帰還させるというミッション。
激戦区を進む、その米軍兵士たちは度重なる戦闘に、どんどん死んで行く。
彼らはライアンなる者は果たして救出するに値する者なのだろうか?
と思いつつ先へ進む。
スピルバーグ演出は兎に角リアリズム一辺倒。
手持ちカメラのブレ具合でドキュメンタリーの様に
臨場感を出し緊張感は途切れない。
兵士1人1人の個性も丁寧に描き、観客は彼等とさながら
戦友の様な気分にさせられて行く。
そして、やっと見つけたライアン(マット・デーモン〕は、
連れて帰ろうとすると彼は愛国心が強く、戦地を自分だけ離れるのは嫌だ!と
拒否し、しかもそこへドイツの一個連隊が戦車3台で近づいて来る。
兵士の数は圧倒的に多勢無勢、勝てるわけが無さそう。
しかし味方兵士だけで作戦を立て、その連隊と戦うという展開。
まるで七人の侍の野武士との決戦の様。
さて、その結果は如何に?というストーリーは流石のスピルバーグ。
今、此の時期のTVオンエアは完全に”ウクライナvsロシア”を意識してしまう。
映画に登場する、ひとりの若い兵士はフランス語とドイツ語が出来る
というだけで訓練も受けず戦場に連れて来られたのだが、
敵を目前にして震え上がり、何もせずに隠れているのが本音
として伝わって来た。そんなもんだよ志願したわけじゃないんだから。
戦争は嫌だ、殺されるのも、人を殺すのはもっと嫌だ!
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