三島雅夫(1906~1973)
此の俳優は、晩年”怪優”と呼ばれた。
今で言えばポッチャリした風貌で
”太った人に悪い人はいないと言うよ”は
成瀬巳喜男の「女が階段を上るとき」で使われた台詞。
私が最初に記憶してるのは久松静児の「警察日記」
人の良い田舎の署長さんで無銭飲食の母娘に
カツ丼なんか食べさしてやっている。
(天才子役・二木てるみが泣かせる)
彼のキャリアは戦前戦後と様々な左翼劇団に参加し
戦中は非国民と投獄もされて妻は心労がたたって亡くなっている。
東山千栄子に誘われ俳優座に入ってから頭角を表し
多くの舞台で名演し「東海道四谷怪談」の
按摩の宗悦役でその年の芸術祭奨励賞
その頃から様々な映画に出始めた。
成瀬巳喜男の「おかあさん」では田中絹代の夫役で
温厚な人柄をそのままを演じた。
ところが彼は悪役も多かった、それも親分格の。
人の良さそうな顔をして実は腹の中は・・・という訳である。
今村昌平の「豚と軍艦」では組長。
「新・忍びの者」では徳川家康と貫禄は充分。
記憶に新しい所では川島雄三の「雁の寺」の住職役
若尾文子相手に濡れ場を演じ、その生臭さ加減は
まさに”怪優”の面目躍如たるものがあった。


0 件のコメント:
コメントを投稿