TV新・座頭市 夢の旅(最終回)
当時、未だ元気だった私の義父が
”最近の座頭市はサッパリ分からない!”とこぼすほど
此の新・座頭市 シリーズは
お茶の間時代劇の「大岡越前」や「水戸黄門」とは程遠い
アヴァンギャルドなシリーズに此の頃はなっていた。
それは勝新が俳優の枠を既に超え、
脚本や撮影の面白さを追及していたからだ。
日本映画の巨匠たちとの実績や現場を知っているだけに
彼が自ら監督した回は斬新で、それは少し遅れた
”大映ヌーベルバーグ”とも呼べるくらい面白い。
此の最終回に勝新が招いた監督は「燃え尽きた地図」で
相性の良かった勅使河原宏。
ただ、その作品は安部公房原作の不条理映画だから
此の最終回に”座頭市の目が開いたらどうだろう?”のと勝新原案に
”面白い!”と勅使河原がノッたかどうか分からないが
とにかく滅茶苦茶でシュールな作品が出来上がった。
上の写真で少しその映像は伝えられると思うが
LSDの幻覚の様な背景を歩く座頭市
能舞台から観世栄夫を呼び、怪しげな古着屋役をさせ
白い羽二重の着物を着替せた座頭市は不気味
それに勝新二役で天一坊みたいは大親分まで出てくると
もう筋は難解を通り越し、どうでも良くなって来る。
それでも映像は完璧に勅使河原宏の世界だし
それまでの”座頭市”を全部ひっくり返したい”という
勝新太郎のの欲望は満たされた筈である。
まさに怪作!オンエアチャンスを見逃してはいけない。
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