2020年9月2日水曜日

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Etegan”北斗七星”(2014)
此れは50分の短編映画。
台詞は無く、幾つかの美しい歌で構成されている。
前半、バシキルの巨人や天上人のエピソードが
白い衣装で表現され、それがとても幻想的だ。
題名の”Etegan”とはバシキール語で”北斗七星”の意。
私はバシキール語もロシア語も解らないから
映像から推測したところ
若い娘たちの恋人たちの出逢いや婚礼がほのぼのと描かれ
しかし、その村を異民族が襲う、対抗して男たちが戦いに行く。
夫婦や恋人達の、それぞれの別れの場面が切ない。
そして、男たちは帰って来ない。
自分の意に背いて年寄りの金持ちと結婚させられた娘が
村を出て森を抜けると、既に男たちは殺されていた。
娘は急いで村に戻り、女たちは武装して復讐に立ち上がる。
しかし敵は数に勝り、反撃され、
彼女たちは断崖に追い詰められ終には皆揃って
崖から飛び降り、湖に消える。
その場面が水中で花が開く様に美しい!
そして、彼女たちは夜空に輝く7つの星
”北斗七星”となったというバッシュキルの伝説。
監督は何と発音するのかAysyuak Yumagulov
ロシアのTVシリーズ等を手掛けている演出家。
淡々として叙情的な映像とダイナミックな演出の
コントラストに非凡な才能を感じる。
そしてバシキールの生活様式を
見事に再現した美術や衣装が素晴らしく、
東洋と西洋の入り混じった容貌のキャスティングが
我々、日本人にも似ていて共感を覚える。
音楽はマラート・ハイズリンと
ウラル・イデルバエフが担当。
どこまでが民謡かオリジナルか判らないが
バシコルトの民族楽器をベースに
モンゴルと同じホーミーやオルテンドー(長い歌)に
ペルーのケーナの様な長い縦笛の音色が
ケルト音楽との共通性を感じさせモンゴロイドの郷愁を誘う。
日本とは気の遠くなるほど遠く離れた中央アジアの国の
文化や歴史に一瞬にして触れられる
此のYouTubeの存在は本当に ありがたい。
50分とパソコンで観るには、少し長いが
大劇場での鑑賞に充分耐えられる完成度の高い作品だ。

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