2019年1月20日日曜日

武満徹の映画音楽その13
利休(1989)
野上弥生子の小説「秀吉と利休」を元に
映画監督にして草月流家元三代目でもある勅使河原宏が
華道とも近い、茶道の祖 ・利休を映画化したもの。
だから勅使河原作品を殆ど手がけている
作曲の武満も時代劇とは云え「切腹」「怪談」等の
琵琶や琴などの和楽器の現代音楽構成だけで無く、
何とスタイルをひねり、中世ヨーロッパの宮廷音楽
つまり、戦国時代の日本をグローバルに捉え、
秀吉と利休の確執を中世の権力者と芸術家の価値観の戦さとしたのだ。
私には此の音色、坂本龍一のダンスリーを聴くようで懐かしい。
此の映画に於ける武満の発想の転換は、
フランソワ・トリフォー監督の映画「アメリカの夜」で、
作曲のジョルジュ・ドルリューが撮影所を中世の城に例え、
撮影風景を宮廷舞踏会の音楽に置き換えたのと似ている。
それにしても、武満のイメージの斬新さ、
そして懐の深さを感じる音楽だ。

コチラは緊張溢れる映画のオープニング




0 件のコメント:

コメントを投稿