2017年6月22日木曜日

アデライン、100年目の恋
その昔、私はギンザの化粧品メーカーの
アンチ・エイジングのクリームのCMを作った。
それは小さな瓶なのに1個何万円もしたが
その時、使ったコピー”時間は止まりません”が
象徴するように、残酷な現実を
少しでも食い止めようとする女性の願望を
叶うべく生まれた商品だった。

此の映画は、その時間が止まってしまった女性の物語。
結婚して娘も居る女性が
ある日、交通事故と宇宙の電磁波の影響で
突然、老化という人間なら当たり前の
現象が無くなってしまう。
つまり、いつまでも外見は同じ姿のままなのである。
まあ、処女の生き血を吸って
若返るドラキュラの話はあるし
「ベンジャミン バトン数奇な人生」は逆に
どんどん若返る話だった。
でも同じ状態で止まってしまうというアイディアは
脚本として面白く、どう展開するのか引き込まれた。
さらに主人公の女性の100年の時間を行き来する
此の脚本が巧み。
特に”化け物扱い”をされるのを嫌がって
長い間、同じ場所に留まらず名前を偽って
世間から逃げるように転々として暮らす主人公も
嘘に疲れ、出会った若い男性に恋をし、紹介された
その父親が、ナント昔の恋人だったという訳。
此の老いた父親をハリソン・フォードが演じ
余りの老け具合に、私もマサカ”インディ”じゃないでしょ?
その父親も目の前に現れた息子の恋人が
昔の恋人と、そっくりなのに戸惑い
主人公は、それは私の母ですと、とっさに嘘をつく。
しかし、父親は彼女が当人であることを見破る。
それに気づいた彼女は又しても逃げる・・・
という展開、果たして結末は?

ハリソン・フォードの老け具合もショックだが
主演女優ブレイク・ライバリーが知的で美しく
いつまでも30歳前後にしか見えないのに、実娘は84歳。
その娘をオスカー女優エレン・バースティンが演じ
その複雑な関係が見事に映像化される。
それも映画ならではのファンタジー。
いつか誰でも歳をとり、死んでゆくのが人間の定め
・・・とは云え、切なくて哀しい映画だ。








0 件のコメント:

コメントを投稿