ブロークン・フラワーズ (2005)
ハリウッド映画とは一線を画す異色監督ジム・ジャームッシュ
デビュー作「パーマネント・バケーション」以来
11作目となる此の作品で、見事にその年の
カンヌ映画祭審査員特別グランプリを獲得した。
人気俳優ジョニー・デップの「デッドマン」や
フォレスト・ウティカーの「ゴースト・ドッグ」で
並みの娯楽監督に成ってしまったか?と思いきや
此の作品では本来のジャームッシュっぽい
何とも、だらし無い男の行動が
実に、だらし無い展開でゆったりと進む文体に戻った。
しかし、ジャームッシュも流石に年を重ね
「ストレンジャー・・・」の頃の若者の無気力さとは
また違う大人の虚脱感の様なものが感じられる。
彼のスタイルは映画の”エモーション”とは程遠い
無意味なカットの積み重ね。
しかし、そこにはちょっとしたユーモアが散りばめられていて
特に此の作品では、何もしなくても全てに退屈している様な
主演俳優ビル・マーレーのキャラクターが生きている。
物語は彼のだらしなさに愛想をつかした妻が
家を出て行くところから始まる。
その後、届いた差出人不明の手紙に
”あなたの息子が家出したから探して欲しい!”
と言われても、手紙は差出人不明だから探しようが無い。
でも主人公に心当たる女性は何人かは居る。
それで仲の良い隣人に、どうしたものか?と相談すると
此の隣人は張り切って、パソコンでデータを集め
彼の息子の母親候補の何人かの住所を突き止める。
此の隣人を演じて居るのが黒人俳優ジェフリー・ライト。
映画「バスキア」の主人公を演じた演技派で
何ともトボケた味をみせる。
彼の作ったリストを元に、主人公は元愛人探しの旅に出る
これは”ロード・ムービー”になるという訳。
此の愛人たちを演じて居るのが
ティルダ・ウィンストンと超豪華キャスト。
ティルダは、まあ別として、シャロンもジェシカも美人。
此んな良い女が何で此んなだらし無い男と・・・と思うのは
観てる方のやっかみか?
しかも彼女たちの今の生活がそれぞれ又面白い
それだけでは無くて現代米国社会の中流家庭の暮らしが
リアルにカリカチュアされて居るのだ。
その途中で主人公はチャッカリ
”焼け木杭(ボックイ)に火がついたり”して
良い思いをしたかと思えば
何を勘違いしたか”ヘルスエンジェル化”していた彼女には
その仲間たちにボコボコにされたりする。
結局、息子を探すのを諦めたところに
偶然それらしき青年が現れる。
確証のないまま、彼は若者にサントイッチを、おごり
その身元を確かめようとすると、あっという間に逃げられてしまう。
彼は息子だったのか、いや違うのか?
ハッキリさせないまま映画は終わる。
題名の”ブロークン・フラワーズ”は主人公が女たちに
会いに行く時、隣人から必ず持ってゆけと指示されたもの。
果たして、”壊れた花たち”の意味は・・・?
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