ヘイル・シーザー(2016)
今や米国映画のエース監督とも云えるコーエン兄弟の新作だ。
1950年代のハリウッド映画界の舞台裏・撮影所を
コーエン兄弟得意のコメディとして描いている。
コーエン兄弟とは「ディボース・ショウ」や
「オー・ブラザー!」と、絶妙のコンビを組んだ
ジョージ・クルーニーが今回主役ではなく、
脇に回って映画にコクを出している。
脇に回って映画にコクを出している。
此の映画の上映前、日比谷シャンテでは
50年代ハリウッドを"赤刈り"で追われた
50年代ハリウッドを"赤刈り"で追われた
脚本家ダグラス・トランボを描いた映画「トランボ」の
予告編を偶然と云うかタイミング良くやっていたが
此の映画は、その時代背景をネタにしている。
第二次世界大戦後,ソ連の共産主義が米国へ上陸し
ハリウッド映画界の共産種党員を告発する
”マッカシー旋風”なる弾圧があった。
それにより、トランボだけでなく、
ジュールス・ダッシンやチャップリン等
それにより、トランボだけでなく、
ジュールス・ダッシンやチャップリン等
米国を離れた監督や俳優も少なく無い。
だから、同じ監督仲間ながら当時内部告発をした
エリア・カザンがアカデミー賞功労賞を貰っても
彼を”裏切り者”として
リベラルな俳優ジョージ・クルーニーは
彼を”裏切り者”として
リベラルな俳優ジョージ・クルーニーは
スタンディング・オベイションを拒否した俳優の1人だ。
その彼が、映画「ベン・ハー」の極右俳優
チャールトン・ヘストンをモデルにしたと思われる
此の聖書映画の主役を
チャールトン・ヘストンをモデルにしたと思われる
此の聖書映画の主役を
演じているのだから此の映画、皮肉も良いところだ。
しかも、彼は共産主義の脚本家たちに
米国資本主義のシンボルだとして
米国資本主義のシンボルだとして
撮影途中で誘拐されてしまうという設定。
此れに「踊るニューヨーク」とおぼしき
ミュージカル映画の水兵を演じる二枚目スターや
”水の女王”と呼ばれたエスター・ウイリアムスもどきの
スカーレット・ヨハンソンが絡み・・・
おっと、肝心の主役は、此れ等の映画のプロデューサーだ。
それを演じるのは日本では馴染みが無いが
実力派俳優ジョシュ・ブローリン。
オリバー・ストーンの映画「ブッシュ」では
主役のブッシュ大統領を演じ
主役のブッシュ大統領を演じ
ガス・ヴァン・サントの「ミルク」では
アカデミー助演男優賞にノミネートされ
コーエン兄弟とは「ノー・カントリー」を先にやっている。
映画冒頭、彼は教会で牧師に
”女房に嘘を付いた,煙草を2本吸った”と懺悔する
やたら糞真面目な男だ。
しかしビジネスマンとしての才能を見込まれ
航空会社のロッキード社から、ヘッドハンティグされかけている。
その最中に聖書映画の主役の誘拐、父親の判らない”水の女王”の妊娠
そして西部劇しか出来ない田舎訛りの
若手俳優のメロドラマへの抜擢と
(此のド下手の役者と名監督との”遣り取り”が死ぬ程おかしい)
若手俳優のメロドラマへの抜擢と
(此のド下手の役者と名監督との”遣り取り”が死ぬ程おかしい)
プロデューサーの彼にはトラブルは山積み
その上、ゴシップのネタを探している
その上、ゴシップのネタを探している
双子の女性記者に執拗に付きまとわれる。
此の双子の記者を女優テルダ・ウエストンが二役で演じ別け
もうキャスティングだけでも此れら怪優たちの名演で
絶え間なく笑い転げさせられる。
私にとっては撮影現場ネタだけに、余計に面白いが
多分,それを知らない人でも笑える筈。
結末はハッピーエンドでもないが結局、悪い奴は居なく
総てが丸く納まり、映画は後味良く終わる。
気が付けばドタバタした当時のハリウッド映画界の内幕
そして人間模様が見事に描かれている。
コーエン兄弟では「オー・ブラザー!」級の完成度。
DVDに成ったら是非もう一度、ゆっくり笑いたい作品だ。
0 件のコメント:
コメントを投稿