鑑定士と顔のない依頼人(2013)
「ニューシネマパラダイス」の監督トルナトーレの作品である。
デビュー作が余りにも完成度が高かったので、それ以降の
「海の上のピアニスト「「マレーナ」「シチリア・シチリア」と
期待し過ぎ、何れも物足りなく感じて居た。
しかしTSUTAYAのレンタルで観た此れは
中々に見応えがあった。
ミステリーなのでネタバレになるから、
シナリオの話は詳しく出来ないが
映画の成功は、主役に名優ジェフリー・ラッシュ
脇にも癖もの俳優ドナルド・サザーランド
そして「マレーナ」のモニカ・ベルッチ以来の美人
シルビア・ホークスというヒロインを見つけた事によるだろう。
主人公は高級美術品収集家の間では有名な鑑定士。
人生の総てを美の鑑定に捧げ、未だに独身、
サザーランドの贋作画家と組んで、本物を自分にセリ落とす
実は名画のコレクターでもある。
そこに、自分の館の名画の鑑定をして欲しいという女が絡む。
その女は対面恐怖症で、絶対に顔を見せない。
だから邦題は「鑑定士と顔のない依頼人」
そべては館の隠し部屋のドア越しの会話で話を進める。
しかし、見るなと云われれば見たく成るのが人情
密かに覗いた鑑定人が見た女は、美術品以上の美しさ。
此れに女性経験の無い鑑定士は夢中になってしまう。
親身に成り、彼女の心の病を癒すべく奮闘する
そして彼女の名画や財産を鑑定し
1冊のカタログを作ると云うのが大筋。
此れに伏線で彼女の館からオートマタ=機械仕掛け人形の
部品が次々に見つかり、それを
女好きの若い機械職人に依頼し、完成させようとする途中で
初心(ウブ)な鑑定士は交換に、その職人に恋の手ほどきを受ける。
甲斐あって見事,彼女は心を開き、鑑定士と結ばれるが・・・
最後に待っていたのは、とんでもないドンデン返し。
あの”エマニエル夫人”シルビア・クリステルと
名前も同じモデル上がりのオランダ女優のシルビア・ホークス。
その官能的な美しさは”ポール・デルヴォー”の絵画から
抜け出た様に妖しい。
主人公ならずとも誰もが夢中になるだろう。
今や熟練の境地にあるトルナトーレの演出に
名優ジェフリー・ラッシュが見事に答え
往年の名画「嘆きの天使」以来、いつの時代にも繰り返される
哀しくも狂おしい”ファムファタール=運命の女”ドラマと成った。
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