2014年4月30日水曜日

ジャン=ジャック・アノー作品集
此のフランスの監督は寡作だ。
それもそのはず1本撮るのに最低4.5年は準備にかけるからだ。
私が最初に観た彼の作品は「人類創世」(1981)
まだ、言語を使えない人類の祖先が火を使う事を発見し
その火を求めて群れを作り大陸を横断する物語。
フィクションとは思えないドキュメンタリーの様な
スケール感と、それをエンタテイメントにしてしまう
此の監督の才能に驚いたものだ。
次に撮ったのが大自然の中の熊を主人公にした
「子熊物語」(1988)。
ドキュメンタリーの様だが立派な芸術映画。
とても題名の様な子供向けでは無い。
その時間をかけたリアリズムに圧倒された。
とにかく、どんな作品にも
それがフィクションであれノンフィクションであれ
徹底した事前調査から生まれる驚異的な
映像化=ビジュアライズは映画の面白さに繋がり
作品の完成度を高めている。
例えばアンチ・ロマンの小説家マルグリット・デュラスの
自伝の映画化「ラ・マン愛人」(1992)でも
当時のインドシナ植民地時代の情景描写に
登場人物たちのリアルな演出はパーフェクト!
人間を動物と同じ様に生態として描き
若い華僑とフランス少女の性愛場面には息を呑んだものだ。
続く「スターリングラード」(2000)は
第一次世界大戦のロシアとドイツの狙撃手の戦い
映画の冒頭から記録映画と見まがう程のリアリズムに
巨大なセットを生かしたエンタテイメントは
大資本のハリウッド映画とは又違う迫力を感しさせた。
彼が新作を出す度、次は如何なる映像が観れるのかと
期待が高まる数少ない完全主義監督の1人だ。

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