2014年3月1日土曜日

Twilight (1998)
映画好きの先輩から送られて来た、お勧めのDVDを早速観た。
監督は脚本家からスタートし、自らメガホンを取り
「夕陽の群盗」「クレイマー・クレイマー」でブレイクした
ロバート・ベントン、彼の作品に駄作は無い。
此の邦題「トワイライト・葬られた過去」も彼のオリジナル脚本
ベースにチャンドラーの「ロング・グッドバイ」の匂いが
強く感じられる”探偵物”。
探偵物と云えば主演のポール・ニューマンは
「動く標的」(1966)でルー・ハーパーを2度も演じたハマリ役。
それでも、それから33年以上も経っているから
探偵という設定にはヨレヨレで無理が有るはずだが
流石のポールニューマン、73歳でも、それなりに絵になる。
おそらく彼を意識した”アテ書き”のシナリオだろう。
探偵物、お定まりのヒト探しに雇われ、何時の間にか犯罪に
巻き込まれるという展開は、此の映画、前に観たか?と
思うほど先が読めるが、登場する人物の描き方が
丁寧なのと、モノローグを含め、台詞が洒落ているので
此れは「さらば愛しき女よ」此れは「大いなる眠り」だと
ハードボイルド小説からの引用をあれこれ楽しめる。
脇役もジェームス・ガーナーにジーン・ハックマンと
いずれも主役級ばかり、彼等の存在感に物語は説得力を増す。
ヒロインに名女優スーザン・サランドン
彼女の”ファムファタール=運命の女”ぶりは
物語全体のコアで、その妖艶さに男たちが
狂わされるのも無理は無い。
それに加えてストッカー・チャニングという
エリザベス・テーラー似の巧い女優
リース・ウイザースプーンにリーブ・シュレイバーの
当時は若手コンビ等が絡み、
ラストのドンデン返しまで物語は澱み無く進む。
タイトルの”トワイライト”の通り、黄昏どきのL.Aを
美しくフィルムに定着させたのはポーランド人カメラマン
ピヨトール・ソボチンスキー。
彼は母国に居た頃、クシュトフ・キェシロスキーの
あの「トリコロール」シリーズ3部作を撮っている。
そして音楽はエルマー・バーンステイン
彼は私の好きな「青いドレスの女」にもスコアを書いている
退廃的なハリウッドの香りが出せる名作曲家だ。
全てがプロの仕事、映画の面白さを存分に味わえる
此んな作品は中で使われたスタンダード・ジャズ
時々引っ張りだしては楽しむ映画だろう。

そして改めて気付いた事だが
題名のトワイライト=黄昏は
陽の様子だけで無く
人生の事を云って居るのだなと・・・。

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