バベットの晩餐会
TSUTAYAの発掘良品に”グルメ映画コーナー”が出来たらしく
かなり前の話題の作品が並んでいた。
私も個人的にグルメ映画のBOXを作り
「ディナー・ラッシュ」「恋人たちの食卓」「幸せのレシピ」等
大体は持っているが「料理長殿ご用心」と「バベットの晩餐会」は
見逃していたので早速借りて観た。
先にみた「料理長・・・」の方は、アウト。
DVDのコメンタリーで監督テッド・コッチェフが
いみじくも自ら語っている様に
映画の場合、監督はコックと同じ
折角の良い素材が下手なコックで
滅茶苦茶な味付けに成ってしまったのは皮肉。
英国の名優ロバート・モーレに
当時一番美しい女優だったジャクリーヌ・ビセット
そしてフランスの名傍役フィリップ・ノワレ等
ほぼ完璧なキャスティングだと云うのに。
ヘップバーンの「シャレード」の線を狙い、同じ脚本家にして
キュブリックの「バリー・リンドン」の名キャメラマンが撮っても
如何にせん”コック=監督”が下手ではどうにも成らない・・・と
前菜の不味さをコキ下ろした後で
ではメイン・コースの「バベットの晩餐会」の話を
此の作品はスウェーデン映画
時代はフランス革命の頃、舞台は田舎の港町、
其処へ革命で夫や子供と家族を殺された女が流れて来る。
此の女の素性は最後であかされるが
此の何かワケが有りそうな女が主人公バベット。
此れをフランスのステファーヌ・オードランが演じる。
クロード・シャブロールの「いとこ同士」から
今でも活躍している息の長い女優だ。
彼女は、村で牧師だった父親の後を次ぎ、
教会を守っている未婚の姉妹に家政婦として雇ってもらう。
此の静かな茅葺き屋根の北欧漁村の暮らしが
ルーベンスやクールベの絵画の様で美しい。
信仰心の強い、村人の性格は純朴そのもの。
しかし、牧師の姉妹には過去があり
いや彼女達では無く,昔、彼女達に恋をした男達が
此のドラマでは、見事な伏線に成っている。
主人公バベットをスウェーデンに逃がしたのは
昔、その牧師姉妹に恋をしたフランスのオペラ歌手。
そして彼女がフランスで一番の女料理長だった事を
明かすのも、昔、姉妹に恋をした将軍。
その姉妹が亡くなった父親の記念日に
村人全部を集めようとしていた丁度その時
バベットが村へ来てから買い続けていた宝くじが当たり
彼女に、思わぬ大金が入る。
それで彼女が思いついたのが村人達への恩返し
それが「バベットの晩餐会」の題名の謂れ。
その仕込みから、手際の良い彼女の調理方法まで、丁寧に描かれ
観ている方は,涎が出て来る。
無知な村人は彼女のフランス料理を悪魔の誘いと疑うが
その天国の様な美味しさに・・・と寓話として
あっけなく映画は終わる。
それでも観終わった後、画面に登場していた村人達同様
何とも云えな至福感に満たされる不思議な映画だ。
二つの映画を比べ
芸術映画と娯楽映画のスタイルと分けてしまえば
話す事も無いが、つくづく映画も料理も同じ
監督(シェフ)次第。
たまたま私もTSUTAYAの発掘コーナーで見つけ、見たところです。
返信削除パペットさんが、パリに帰らず、村に残っくれて、よかったね~(^_^)v
宇佐美にもバベットさん
返信削除来てくれないかな(笑)