(日本映画・女優編)
東山千栄子(1890〜1980)
彼女は名家のお嬢さん、将来は外交官夫人になるべく育てられ
学習院女学部卒業後、仏英和女学校でフランス語を学び
輸入業者のモスクワ支店長と結婚、モスクワで生活する内
モスクワの芝居を観て、演劇の道を志したという。
帰国後、小山内薫などが創立した築地小劇場に入団し
戦後は千田是也と俳優座を結成、その看板女優として
「桜の園」のラネーフスカヤ夫人を当たり役として活躍する。
まあ、本場に居た経歴そのままを演じて居たというワケ。
しかし映画では木下恵介、溝口健二の作品などで、
誰にも真似の出来ない上品な母親役をおっとりと演じていた。
誰にも真似の出来ない上品な母親役をおっとりと演じていた。
日本映画ファンには何と云っても
小津安二郎の「東京物語」で笠智衆との夫婦役が忘れられない。
「にっぽんのお婆ちゃん」では何故か老人ホームに居る
元華族様のお婆ちゃん役がハマって、その言葉使い
立ち振る舞いが何とも優雅で、他のお婆ちゃんとの
コントラストが効いていた。
村瀬幸子(1905〜1993)
彼女は先の東山千栄子より若いが築地小劇場から
俳優座を旗揚げのコースは全く同じ。
東山同様、戦後の日本映画に沢山出ているが
今井正の「にっぽんのお婆ちゃん」では
ボケて自分で食べたのを忘れ、盗まれたと騒ぐ
婆ちゃんを、とぼけて演じて面白かった。
代表作と云えば晩年の黒澤明監督の「八月の狂詩曲」だろう。
オチョコに成った傘を持ち台風に向かう姿が印象的だった。
撮影当時、彼女は86歳を越えていて、その二年後に亡くなったから
正に命をかけた演技だったと云うべきだろう。
岸輝子(1905〜1990)
東山、村瀬と同じ築地小劇場から俳優座へのコース
彼女も戦前から左翼の反戦運動で弾圧された過去を持ち
戦後はもちろん演劇でも活躍したが,
黒澤明の「野良犬」小林正樹の「人間の条件」
今村昌平の「にっぽん昆虫記」と
巨匠達が描く社会の底辺に住む女性(それも農民)の
リアリズム演技で名を残している。
虐げられても強かに生きる女性を演じさせたら
彼女の存在感はピカイチだろう。
今井正の「にっぽんのお婆ちゃん」では
ラストに学生帽を冠り北林谷栄と踊る姿が
グロテスクで気持ち悪かったが・・・。
熊井啓監督の「サンダカン八番娼館・望郷」が
遺作と成った様だ。
此の3人は日本映画の黎明期、演技力を買われて
演劇畑から映画に起用された女優たちだ。
その存在は巨匠たちの作品のみならず、
出演した、あらゆる映画に深みや奥行きを出し
その時代を描くのに欠かせない人達だった。
此の3人は日本映画の黎明期、演技力を買われて
演劇畑から映画に起用された女優たちだ。
その存在は巨匠たちの作品のみならず、
出演した、あらゆる映画に深みや奥行きを出し
その時代を描くのに欠かせない人達だった。
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