2012年8月7日火曜日



Steal(スティール)
オリンピックのお陰で(主に女子バレーだが)
録画しても観れない映画が溜まったので見始めた。
何の予備知識も無い此の作品に見事にハマった。
邦題「スティール」は”鋼鉄”という意味かと思ったが
野球のホーム・スティール、つまり”盗む”という方だった。
銀行強盗や輸送車を襲い、現金を盗む事に生き甲斐を求める
男3人、女1人の若いグループの話だ。
いきなり銀行強盗をローラー・スケートでやる
テンポの良い出だしの演出は、ヒットしたフランス映画「TAXI」の
監督と後で解ったが、斬新な映像は今売り出し中で
「エデット・ピアフ〜愛の讃歌」を撮ったテツオ・ナガタ。
ジョナサン・デミとのコンビの、タク・フジモトと云い
海外で活躍している日本人カメラマンが今注目だ。
この作品でも監督が"TAXI"の人だからカー・アクションの
スピード感が、ずば抜けて良いのは勿論だが
それぞれのシーンに目を見張るフレームで勝負している。
映像の遊びが、スリルを倍増させているのだ。
脚本も良く、どうなるか?先の読めない展開は
弛む事無く一気にラストまで突き進む。
キャスティングも此の映画の成功の要因だろう。
主役のグループのリーダー、スティ−ブン・ドーフは
どちらかと云うと脇役の多いチンピラ風だが
そのキャラクターが此の作品では、敵役連中が、やたら強烈だから
負けそうで観る方をハラハラさせて効果的。
その悪役の筆頭は007で存在感を残した英国俳優
スティーブン・バーコフ。
脚本も演出もやるという多才な実力派が
プレスリーもどきの鬘を冠り、思いっきり殺し屋を
遊んでやっているのが何とも楽しい。
浴槽に潜った愛人が、息が苦しくてもう私しゃぶれないと
彼の股間から登場したのには笑い転けた。
それにネタばれだが警察の中に居る悪い奴や、マフィア等
何れも癖の有る役者ばかりキャスティングのセンスが良い。
ヒロインのナターシャ・ヘンストリッジも
知的でエレガント、此の泥棒vs女刑事の対決は
スティーブ・マックイーンとフェイ・ダナウェイの
「華麗なる賭け」を思い出させた。
とにかく、やたら強い敵役たちの裏をかく彼らの作戦は
ローラー、ダイビング、クライミングと身体を使っているので
スポーツ感に溢れ、実に爽快!此れまでに無いカタルシスが得られる。
此のフランスの監督ジェラール・ピレスの名を
今まで見落としていたが、是非他の作品も観てみたいもの。







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