The Day of the Locust (1975):ジョン・シュレジンガー監督作品
邦題は訳してそのまま「イナゴの日」として公開された此れは
高い評価を得た「真夜中のカーボーイ」の監督ジョン・シュレジンガーが
同じスタッフで撮った次回作。
しかし此の作品は当たらなかった。
その理由は余りにも暗すぎて所謂、大衆受けしなかった。
先の「真夜中・・・」のダスティー・ホフマン程の主役スターや出ず
ドナルド・サザーランドやカレン・ブラック等の演技派では
客は呼べなかったのだ。
しかし此の映画、実は凄いのだ。
そのスペクタクル加減、先ずは前半、巨大なスタジオに組んだ
ワーテルローに大丘陵が膨大な数のエキストラの重さに耐えきれず
崩れて大惨事になる。
そして後半のクライマックスにハリウッド大通り
チャイニーズシアター前でパニックが起こり車が何台も炎上
それが椰子の木に燃え移り
ハリウッドスターを観ようと集まった群衆に倒れてくる。
此れをC.G特殊効果の無い時代にリアルに撮った監督シュレジンガー。
物語は映画のセット・デザイナーを目指して
ハリウッドへやって来た青年は主人公。
そして何がなんでもスターになると貪欲な女優カレン・ブラックに
無垢な中年男ドナルド・サザーランドなどが
中古アパートに集まり暮らし始める。
ドナルド・サザーランドは簡単にカレン・ブラックに振り回され
消耗した挙句、同じアパートに住む子役にも馬鹿にされ
遂に石まで、ぶつけられ狂って彼は、その子を両足で踏み潰す。
此の凄まじい狂気はベルトルッチのイタリア映画「1900」にも繋がる。
その中でもサザーランドは子供を振り回し壁に叩きつけて殺した。
カレン・ブラックは「イージーライダー」でメキシコの祭り
マルディグラにLSDでラリってピーター・フォンダに
しがみついていたが、後々の「エアポート」では
死んだパイロットに代わりジャンボジェット機を操縦した。
兎に角、欲望と狂気がカタストロフとなるハリウッド。
イギリス出身の監督シュレジンガーはアメリカという国の狂気を
目の潰れたムンクの絵画の様にカリカチュアして表現した。
その表現は同じイギリス出身の監督アラン・パーカーの
「ピンク・フロイドのザ・ウォール」の仮面を被された
少年少女たちのベルト・コンベヤーに乗せられた行進に繋がる。
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