2023年10月12日木曜日

銭形平次捕物控 人肌蜘蛛( 1956);森一生監督作品
先日、市川崑の「雪之丞変化」で長谷川一夫の凄さを紹介したが
此れは、その10年近く前、彼が”男の色気”をプンプン
匂わせていた頃の作品。
捕物控シリーズでは初のカラー作品。
それで張り切ったのか、いや当時未だTVのない時代
大衆の娯楽を独り占めしていた映画は
画面の隅から隅まで埋める膨大なエキストラの数。
時代劇だからカツラや衣装を付ける準備だけでも
大変な時間になるはずだ。
神田祭の巨大なオープン・セットを俯瞰で撮る場面が続き
制作費は一体どれだけ有ったのだろう。
その頃の大映の、まさに大きさを感じる。
野村胡堂の原作をクロサワ作品の初期に参加していた
小国秀雄が脚色。
監督の森一生は、その黒澤明の大映時代の同期。
私には日本映画のBEST-10に入れたい「薄桜記」も彼の作品。
全盛期の大映で勝新太郎と市川雷蔵の二枚看板
俗に言う”カツライス”を支えた監督。
だから冒頭から島抜けした罪人2人の嵐の海の
描写の迫力に圧倒される。
そして1人は追っ手の銃に撃たれ土左衛門となり
江戸に流れ着くが、その背中に題名の”人肌蜘蛛”
そして懐から錦絵が出てくる。
どちらもミステリーなのに美しくカラーを意識させる。
銭形平次の登場シーンは神田祭に
威勢よく太鼓を打つ長谷川一夫の格好良さ!
その隣には艶やかな山本富士子。
もう此れだけで観客は映画の魅力にハマった事だろう。
おっとその前に、売り出し中の市川雷蔵が出てくるが
長谷川一夫の前では幾ら白塗りしても負けてしまう。

余談だがカツシンは、幾ら頑張っても長谷川一夫と
市川雷蔵に負けてしまうので此の森一生監督で
”汚れ”の「不知火検校」から「座頭市」でブレイクした。

話はそれたが物語は、その”人肌蜘蛛”の男たちで展開し
結局は悪徳奉行と悪徳商人が結託して
江戸の米相場を操りかけたのを銭形平次が見破り
目出度目出度となる。
もちろん銭形平次には付き物の、手裏剣がわりの投げ銭は
悪徳商人役の東野英治郎(後の水戸黄門)の両目を潰し
彼が溜め込んだ米俵の山を崩すと
拉致されたた山本富士子が出てくると言うサービス。
当時の映画館は此れで盛り上がった事だろう。



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