2017年2月15日水曜日


博徒七人 (1966)
笠原和夫著の「昭和の劇」を読んで以来
観たくて仕方がなかった此の映画を、やっと
CSの東映チャンネルで。
笠原著によれば、東映からは「七人の侍」みたいな任侠映画を!
という注文だったそうだが

登場するヤクザは今で言う身体障害者ばかり
主人公の鶴田浩二は片目の居合抜き
準主役の藤山寛美は片腕の拳銃使い
それに山本麟一は片足の義足の怪力坊主。
それとコンビの待田京介の盲目の吹き針。
大木実は顔にケロイドの軍人あがりの剣豪
後2人は
小松方正は、せむしでジャンプが凄い空手使い。
山城新伍は聾唖で鎖鎌ならぬ鎖分銅使い。
まあ、よくも集めたりハンディ・キャッパー。
オープニングから、並んだ7人のシルエットに
照明が当たると、それぞれがポーズを決め
もう、それだけで身体障害者が優れたヒーローに見えてくる。
でも話は任侠映画のパターン通り
隠岐の島の石材業者の採掘権を巡って奪い合い。
最初、何も知らず悪い方(金子信雄)に雇われた主人公が
途中で余りにも酷い親分に愛想を尽かし
良い方(佐々木孝丸)に寝返ると言う筋書き。
此れに良い方の親分の娘に桜町弘子。
藤山寛美が惚れる女郎に松尾嘉代と此れも定番通り。
藤山寛美の小芝居が効いて展開を面白くさせるが
何と言ってもパラリンピックならぬ、それぞれの格闘場面。
”座頭市”に”片腕ドラゴン”の面白さ。
脚本・笠原は「酔いどれ天使」の医者の志村喬風に
西村晃まで登場させ、話を膨らませているが
単純明解な構成は緩むことなく展開し
気がつけば彼らは7人から5人に減ってはいるものの
最後は警察に捕まらなく、島を離れて行くのは
続編を考えての事だろうか?
でも放送禁止用語が連発する此んな危ない
任侠映画は続く由もなかったようだ。
1つ気付いたのは絶世の2枚目と言われた鶴田浩二も
片目となると剽軽になって、芝居が軽く変わっている事。
それと金子信雄の悪親分の
卑怯を絵に描いたようなキャラクターは
後の「仁義なき戦い」に引き継がれるが
実は「仁義なき・・・」の本当の主役は菅原文太よりも
金子信雄だったのでないか?と、ふと思った。
何はともあれ
脚本家・笠原和夫は「仁義なき・・・」路線が始まる直前
鶴田浩二と健さんの任侠映画に東映が煮詰まっている時期
どさくさに紛れて、中島貞夫の「日本暗殺秘録」といい
随分、目茶苦茶な脚本を書いていたものだな。



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