”日本映画ガイジン列伝”
力道山がシャープ兄弟等の海外の悪役レスラーを呼び
日本人が”ガイジン”をやっつける演出は
彼が朝鮮人で”ガイジン”だったのをカモフラージュ
するのに実に効果的だった。
ところで戦後、一握りの”ガイジン俳優”が
片言の日本語を使い、日本映画に出演していたのを
皆さん覚えておいでだろうか?
まず、此の顔
オスマン・ヨセフ(1920〜1982)
国籍はトルコ人、なんと戦前から日本映画
黒澤明の「姿三四郎」等に出演
日本語をわざと下手に喋って居たが実はペラペラ。
戦後は主に東宝「モスラ」等の怪獣映画
植木等の「クレイジー・シリーズ」
加山雄三の「若大将シリーズ」
東映でも高倉健と一緒にオーストラリアまで行って
和製ウエスタン「荒野の渡世人」に出ている。
(あっちに外人は、なんぼでも居るだろうに)
恐らく、その頃、貴重だった通訳兼かも知れない。
日本では外人エキストラのコーディネーターまでしていた。
彼は体格が良く大柄だが、此の顔にチョビ髭をつけると
プロレス好きなら誰かを思い出すだろう?
そう、あのユセフ・トルコが兄弟なのだ。
彼は日本映画の衰退に、TV界にも進出
「キイハンター」「太陽にほえろ」と現代劇のみならず
時代劇「荒野の用心棒」「破れ傘刀舟」にも出まくり
日本人を騙す悪い”伴天連”を演じ続けた。
続いて登場するのが
ジョージ・A・ファーネス (1896~1985)
彼の本業は弁護士だ。
戦後の軍事裁判に日本人の戦犯弁護で
刑を軽減するのに活躍した実績を持つ。
そのまま日本に残り
日活の裕次郎映画「海の野郎ども」で船大工
東宝で「地球防衛軍」の博士
「クレイジー黄金作戦」等に出演
当たり役はフランキー堺の「私は貝になりたい」の弁護士役
此のドラマで主人公・清水豊松を弁護しきれず
彼を死刑台に乗せてしまったのは余りにも皮肉。
本物の弁護士だけにインテリらしい風貌を持っていた。
ハロルド・コンウェイ(1911〜1996)
米国ペンシルバニア生まれの彼が
何故、日本映画に出始めたかは不明だが
日活の裕次郎映画「狂った果実」が映画デビューだ。
東宝の怪獣映画には「地球防衛軍」「モスラ」と数多く出演
他にも東映アクション映画には卑怯な外人役を演じ
「月光仮面」「忍者部隊月光」と子供向けのB級映画から
社会派・熊井啓の「帝銀事件・死刑囚」
松竹ヌーべル・ヴァーグ「涙を獅子のたて髪に」
TVドラマは「マグマ大使」「ウルトラマン」と
器用に、あらゆる外人役をこなしたので
団塊の世代は彼の顔に記憶が有ると思う。
恐らく出演数は外人のトップだったのではないか。
チコ・ローランド(年齢不詳)
黒人俳優の草分け、それでも生まれはブラジル。
今テレビに出ているボビー・オロゴンそっくりだが
1960年頃から日活を中心に活躍していた。
小林旭や高橋英樹のアクション映画に登場
当時は珍しかった黒人俳優として貴重な存在だった。
東映にも「ゾロ目の三兄弟」「激突・殺人拳」と出ていたから
アクションが得意だったのだろう。
私の記憶に残って居るのは米軍の脱走兵
モダン・ジャズ狂いの日本人・川地民夫と
黒い大きな気球で空に舞い上がり日本脱出を試みる
蔵原惟善監督の「黒い太陽」(1964)
そのクールな仕上がりは
日活ヌーベル・ヴァーグ、幻の名作と思っているのは
私だけかな。
以上、思いつくまま並べてみたが、まだ出て来そう。
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