2014年9月7日日曜日

シャーロック・ホームズの事件簿
「未婚の貴族」
シリーズ物は難しい、
別に此のブログの事を云って居る訳ではないが
英国製作の此のTVシリーズ「シャーロック・ホームズの冒険」
そして「シャーロック・ホームズの事件簿」と続くと
ネタ(原作)も無く成り、脚本も監督も大変だ。
此の回もコナンドイルの原作
「独身の貴族」と「花嫁失踪事件」を繋ぎ合わせている。
プロローグが、いつもと違いシュールな映像で始まり
シャーロックがノイローゼになって夢を見ている設定。
どうやら此の頃、主役の俳優ジェレミー・ブレットが
本当に体調を崩して撮影も、おぼつか無かった様だ。
それが妙にリアリティが有って面白く成った。
シャーロックは難解な事件が無いと退屈して
麻薬に走るという”癖”はNHK向きではないが
青ざめた顔に血走った眼は全く芝居とは思えない。
(本当に長い間、躁鬱病に苦しんでいたらしい)

ノイローゼで幻覚を見て眠れないというのが
それは実際に起こりつつある事件の夢で
それは彼の持つ”予知能力”だったというオチで終わるのだが。
その夢の映像が何とも魅力的で興味をそそられた。
まあ演出家の”遊び”と云えば、それまでだが。
もともと歴史的な建造物(ロケセット)
室内装飾(美術)そしてコスチュ−ム(衣装)は
英国というお国柄、完璧というほど
保存されているので、骨董マニアならずとも
涎(よだれ)の出るものばかり
本物感がイメージを豊かに膨らませる。
それにデジタル・リマスターした光と影の
どのカットも渋く、溜息が出るほど映像が美しい。

話はタイトルの”独身の貴族”そのまま
やっと結婚に漕ぎ着けた筈の美男の青年貴族が
実は、とんでもない”三浦一義”で
と言っても皆もう”ロス疑惑”は忘れているだろうが。
金持ちの娘と結婚、婚約しては殺したり
狂人扱いにして監禁する、酷い奴。
それが事もあろうか、婚約者が失踪したから
探してくれとホームズに依頼に来る。
事件を追う内にホームズは青年貴族の嘘を見破り
2番目の妻の妹の情報を得て
その妻を監禁している城へ乗り込むが
先に3番目の妻が先に殺されそうになっていた。
しかも、その城は豹やらヒヒまで放し飼いにされており
ホームズ&ワトソンと言えども危険この上ない。
でも、その城の情景こそ、彼の夢に出て来たもの
断片を繋ぎ合わせると事件現場だったと云う訳。
シナリオは荒唐無稽で相当無理があるのだが
登場する俳優達のキャスティングが良いので
最後まで見入ってしまった。

ホームズ役のジェレミー・ブレットは1995年に61歳で
亡くなってしまい、BBC製作で現代に話を移し
「SHERLOCK・シャーロック」を製作している。
一方ポアロを演じている俳優デヴィッド・スーシェは
まだ元気だが同じTVシリーズ「名探偵ポアロ」も
今回でシリーズ完結するらしい。
コチラもホームズに負けないくらい映像が美しいので
何とか”帰って来たポアロ”とか
”ポアロ復活”とか
エピソードを追加して貰いたいものだ。

私は、せっかちだから此の手の謎解きは苦手なのだが
此れ等シリーズはレベルの高い英国映画の
カメラマン達が撮った美しい映像を観るだけでも楽しい。

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