ルキノ・ヴィスコンティの世界
此のジャケットの右写真からも窺える気品と貫禄
そのままに彼はイタリア貴族出身の映画監督だ。
しかし若い頃は戦後イタリア共産主義が台頭したので
彼もイタリアン・ネオリアリズムと呼ばれる
社会主義的な作品を多く残している。
当時人気の有ったフランス俳優アラン・ドロンを起用した
「若者の全て」はモノクロで生活感の有る
リアルな描写で兄弟の確執を見事に描いた。
それが「山猫」で、自らのアイデンテティである
貴族を描いた事により、作風が一変し
それまでと反対側、つまり
時代と共に没落してゆく権力側の人々
それはナチス・ドイツ末期の財閥、高級将校、そして
”人生の黄昏”を迎えた老作曲家等の執念を描く事で
”滅びの美学”とも云うべき壮絶な耽美的世界を造り上げた。
それらは彼でしか描けない重厚で華麗な映像に彩られ
彼が好んだワーグナーに象徴される
まさに壮大なオペラの世界であった。
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