2014年4月19日土曜日

今村昌平の世界
海外の映画人に日本の監督で人気のあるのは
溝口健二、黒澤明、小津安二郎、大島渚等だが
カンヌ映画祭で「楢山節考」「うなぎ」と2度もグランプリを
取るまで、彼はなかなか評価されなかった。
しかし、映画好きの日本人なら彼の凄さは皆知ってた。

彼は此のサイトで先に出した
川島雄三の助監督、つまり弟子でもあるからして
執拗と思えるほど主題を調査し調べ上げた脚本は
戦後の歴史と農村および都市の風土を
”性”を中心とした人間関係で濃密に描き、又
それに似合う俳優達(ことに肉感的な女優)を
抜擢する演出は、彼の何時ものスタイルであった。
現実から得た情報で描く、徹底したリアリズムは
時には現実をも超える作品となり
悲惨さが滑稽に、すり変わる瞬間を見逃す事無く
映像に定着させ、映画館の観客を圧倒し続けたものだ。

しかし、そのエネルギーも年齢と共に衰え
ボルテージが下がり出した頃、世界が
やっと彼に高い評価を下したのは
彼にとって歯がゆい事だったろう。
私は全盛期の彼を2度程、街中で観たことがあるが
その豊満な肉体とは裏腹に
辺りの獲物を狙う獣の様な貪欲な視線を感じた。

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